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塗るボトックス、作用機序

神経毒のメカニズム

ボトックス注射はご存じのヒトは多いとは思います。

注射することでシワを改善する効果があります。

では、このボトックス注射は何で、どんな作用があるのか

理解している人は非常に少ないと感じます。

 

知っていれば「塗るボトックス」ってワードに飛びつくことは

なくなるんでないかなー

と思い、そのボトックスについて詳しく説明していこうかと思います。

 

ボトックス注射の中身はボツリヌス菌が生成する

ボツリヌストキシンという毒素。

割と身近な菌で、土の中にはだいたい存在しています。

赤ちゃんにハチミツを食べさせてはダメってのは、

ハチミツにボツリヌス菌の胞子が存在しており、

免疫の低い状態だと、体内で胞子が発芽し、

毒素が作られてしまうからなんですよ。

 

ボツリヌストキシンは神経毒で、神経伝達を遮断してしまいます。

非常に強力な毒素で、同じ神経毒で有名なサリンの100万倍の毒性があります。

簡単にいえば、サリンよりも1/100万の量で死ぬよってこと。

1gで100万人分の致死量になります。

 

神経ってのは電気信号によって、情報を受け渡ししているのですが、

神経細胞間は神経伝達物質によって行われます。

神経物質はアドレナリンとかセロトニンとかが有名ですかね?

 

電気信号を受けた神経細胞が次の神経細胞へと情報を伝えるために、

シナプス小胞を形成します。

この小胞には神経伝達物質が詰まっています。

この小胞が外壁に達すると、中の伝達物質が放出されます。

 

神経伝達物質は受容体にはまることで、情報が伝達されます。

受容体と結合した神経伝達物質は酵素によって、速やかに処理されます。

 

神経毒のパターンは大きく分けて3つ。

1.シナプス小胞を作らせない。

2.神経伝達物質を放出させない

3.神経伝達物質と受容体を結合させない

 

1は小胞を作る膜の形成を邪魔する、膜を破壊するなどによって、

情報の伝達を阻害します。シナプス小胞が作られなければ、

神経伝達物質が放出されることがないので。

 

2は小胞の移動を邪魔する、小胞と細胞膜との結合を邪魔するなどによって、

情報の伝達を阻害します。ボツリヌストキシンの作用はこれに当たります。

 

3は受容体に先回りして入り込むことで、情報の伝達を阻害します。

神経伝達物質に近い形をしたものが、受容体に先に入ることで、

その物質が蓋となります。神経伝達物質とは別物ですので、

酵素によって分解されることができません。

 

いわゆる「塗るボトックス」ってのは、このいずれかの作用があるものになります。

神経からの伝達を遮断することで、筋肉を弛緩させ、シワを伸ばすってのが

ボトックス作用ってことになります。

 

まあ、運動神経に作用すれば、麻痺することになりますし、

自律神経に作用すれば、臓器不全になります。

心臓であれば心臓麻痺、肺であれば呼吸困難になるわけで、

「毒」であることを自覚しておきたいところではあります。

 

使われない筋肉は当然衰えるわけで、その瞬間はいいとして、

長い目で見れば、老化を促すことに他ならないってことがわかっていれば、

まあ、普通はやらんわな。

 

 

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