炎症を抑え皮膚の恒常性を維持するメカニズムが解明された

制御性T細胞

順天堂大学大学院医学研究科の研究グループが、

皮膚バリア機能の破綻における制御性T細胞の役割を解明した

という発表をしました。

 

Regulatory T Cells Exhibit Interleukin-33-Dependent Migratory Behavior during Skin Barrier Disruption.

 

要するに、肌荒れが治るメカニズムがわかったよーって話。

 

実験内容は、界面活性剤を用いてマウスの皮膚バリアを破綻。

おそらくラウリル硫酸Naを使ったのだと思われます。

で、その皮膚を解析するというもの。

 

結果として制御性T細胞が真皮内に集まってきており、

その結果、免疫抑制が起こり、炎症が抑えられたとのこと。

制御性T細胞の浸潤、蓄積を促すのが表皮角化細胞から

放出されるインターロイキン(IL-33)であることを発見したとのこと。

 

私が学生時代はサプレッサーT細胞ってのが免疫の制御をしている

って習ったような気がしないでもないのですが、この理論は破綻しているようで、

実際は制御性T細胞なるものが存在しているってのが今の定説。

 

自己細胞を攻撃しないようにするため、存在しているのが制御性T細胞で、

こいつがいないと、自分自身の細胞を抗原として攻撃する免疫細胞が

でてきちゃうそうな。

そのため、制御性T細胞の活性や数が低下すると、

自己免疫疾患になるそうな。

リウマチとか喘息とかね。

 

皮膚バリアの破壊⇒表皮が肥厚化⇒IL-33の放出量の増加⇒

制御性T細胞の浸潤、蓄積⇒免疫抑制⇒炎症の抑制

ってな流れが起こるということが分かったわけです。

 

IL-33ってのはサイトカインの一種です。

アレルギー関連の話ではよくでてきます。

逆にアレルギーを助長するって言われてるな。

 

制御性T細胞の免疫抑制はIL-10 とTGF-β(Transforming Growth Factor)を

放出することで行っているそうな。

IL-10は抑制性のサイトカイン、TGF-βは細胞の増殖抑制因子。

 

 

制御性T細胞ってのは今ホットな話題の1つ。

それもそのはず、自己免疫疾患ってのは難病で治療が困難だったわけです。

それが治療可能になるかもしれないというわけですから、

注目されるのは必然かと。

 

すでに、欧米では自己免疫疾患や臓器移植での拒絶応答を抑える新規治療法として

制御性T細胞の移植が行われ、その有効性が示されています。

 

アトピーの治療なんかでも、制御性T細胞の移植が行われる日が来るかもしれません。

もしくは制御性T細胞を増やすような成分が見つかるかもしれません。

まあ、そういった研究も進むことでしょう。

 

 

ただ、この制御性T細胞、良いことばかりってわけではないです。

免疫で攻撃して排除すべきものへの攻撃も止めてしまうんです。

その最たる例ががん細胞。

がん細胞は免疫から攻撃されないように制御性T細胞を利用します。

 

同様に、ウイルスや細菌などの侵入を許してしまうことにもなります。

せっかくワクチンを打って免疫を作っても、制御されたら感染しちゃうわけで。

 

もちろん、正常な状態であれば、うまくバランスを取っているのだとは思いますが。

制御性T細胞を増やしたり、活性化させたりするような飲み薬は

ちょっと注意する必要があるかな?

 

今回は皮膚の話ですので、そこまで問題にはならんと思います。

実際に抗炎症剤は色々と存在しており、使用されているわけですから。

まあ、新しいアプローチが1つ増えるというだけです。

 

 

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