擬似セラミドによる角質内のセラミドの変化

有意差はあるのか疑問ではありますが

花王スキンケア研究所・解析科学研究所による研究発表になります。

Journal of Investigative Dermatology, February 1, 2020 Online版にて掲載されています。

 

疑似セラミドを配合した化粧水によるスキンケアにより、アトピー性皮膚炎患者の皮膚の角層の

内因性セラミドプロファイルが変化することを確認することができたとのこと。

要するに、擬似セラミドで肌をケアすることで、セラミドの組成に変化があったってこと。

それを表しているのが、上図になるます。

 

よくわからんのが、セラミドNS、つまりセラミド2の量を調べているわけです。

12種類のセラミドがあるにも拘わらず、なぜかNS限定にしている。

で、横軸が炭素数になっているわけですが、ヒトの肌にあるセラミドは、

多くの異数体が存在しています。

セラミドを構成する脂肪酸の長さがことなり、長いほど炭素が多いってことになります。

 

擬似セラミドで皮膚を保護すれば、外部からの刺激が緩和されるわけで、

そのうち肌がよくなるってのはわからなくもないです。

しかしながら、この試験はちょっとどうなん?と思ってしまいます。

 

セラミドの脂肪酸は長いほうがバリア性、保水性が高くなります。

グラフは1ヶ月で、右へ移動しているので、脂肪酸が相対的に長くなっている

ってのはわかります。

 

ただ、その差ってのがね・・・

有意差ありといえるものなのか、ちょっと疑問。

 

そもそも、被験者はアトピーで、アトピー患者は健常者と比べると、

セラミドの組成が異なるってのは確かなこと。

ただ、セラミド2に関しては、そんなに差はないんですよ。

むしろ、アシルセラミドのほうが顕著な差はあり、

調べるならこっちのような気はします。

 

また、これは腕のセラミドを調べてるんですよね。

顔じゃないですし、おそらく患部でもない。

テープストッピング法、まあ、テープを貼って、ビリっと勢いよく剥がすって方法で、

そこに付着したセラミドを調べるって方法なんですが、

患部にやるのはちょっと鬼畜ですよね。

 

 

ぶっちゃけ、アトピーに花王のキュ●ルは非常に有効であるってのは

間違いないと思います。

 

さすがに1ヶ月で改善するってことはないですが、

少しずつ、よくはなっていくと思われます。

遺伝子の問題でないのであれば、肌が正常化する過程で、

セラミドの組成にも変化がみられるはずです。

 

擬似セラミド入りの製剤でセラミドの組成が変わるって結論は

疑いの余地もないのですが、正直、このデータでそれが言えるかって

のは疑問だよなーと思った次第です。

 

 

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