アトピー性皮膚炎素因を持つ成人の角質層脂質プロファイル解析
Experimental Dermatology誌2025年12月号に発表された論文。
アトピーは大人になれば治る場合が多いのですが、大人になって再発することも多い。
なぜ、大人になってアトピーが再発するのか?という問いの答えを提示した論文になります。
乾燥肌素因を持つ成人男性58人の角質層構造解析と皮脂プロファイリング解析を行ったわけですが、
1,385種の脂質分子が定量され、トリアシルグリセロール(TAG)が最も豊富に存在することが
わかりました。
TAGと乾燥度には負の相関性が確認されました。
つまり、TAGの減少が乾燥肌の1つの原因であるということが示唆されたわけ。
加齢と共に、セラミドAH、セラミドAP、セラミドAdS、セラミドNP、セラミドNdSが
なぜか増加しているとの結果に。
18-39歳、40-59歳、60歳以上との区分で比較したわけですが、
基本、乾燥肌の人を集めたわけで、加齢によりセラミドが増えるってわけではないです。
若いときの乾燥肌はセラミド不足によるものですが、高齢の乾燥肌はセラミド不足に
起因するものではないと言えるって話。
ちょっとややこしいですね。
乾燥肌の人間を集めたけど、年齢別で見るとその原因は異なっていたというわけさね。
そこで注目したのがセラミドNdS分子種。
まあセラミド10と呼ばれるものですね。
脂肪酸の炭素数が16、短鎖脂肪酸をもつセラミドが増加(+2.23%)し、
炭素数が24の長鎖脂肪酸を持つセラミドが減少(-3.9%)していたと、
顕著な差があったそうな。
細胞間脂質を構成するセラミドは短鎖脂肪酸が増えるとバリア機能が低下し、
長鎖脂肪酸が増えるとバリア機能が高まるってのは周知の事実です。
加齢による乾燥肌は単純にセラミド不足ではなくて、セラミドの質が悪くなる
ことで起きている可能性が示唆されたってわけ。
また、セラミドNdS/セラミドNH比は、年齢、乾燥度、バリア完全性で
有意に相関していたとのこと。
正直、これが意味することはちょっと分かりかねます。
加齢に伴いセラミドNdSが増えるけど、セラミドNHは分からない。
セラミドNdSの増加は乾燥肌を招き、バリア機能の低下が起こるということ
なんだけど・・・
なんでセラミドNHを持ち出したのかはわからん。
NS/NPがアトピー肌の指標になるのではないか?
という論文があるのですが、それに倣った??
ちなみにセラミドNSは健常者でもアトピー肌でも変わらないのですが、
セラミドNPが少ないほどアトピーが重度化する傾向にあります。
別の論文でセラミドのプロファイリングをした結果、敏感肌とアトピー肌に
共通点があることが明らかとなっており、
敏感肌、アトピー肌ではセラミドNP、NHが少なく、アシルセラミドが少ない
傾向にあることがわかっています。
今回、乾燥肌に着目して調べた結果、加齢による乾燥は単にセラミドが不足するから
ではなく、短鎖のセラミドが増える、長鎖のセラミドが減少していることで
起こっているというのが明らかとなりました。
高齢者の乾燥肌がセラミドを補うだけではなかなか改善しないのは、
セラミドは不足していないけど、ラメラ層を構築しているセラミドの質が悪い
ことに起因していることが想定されるからってのが明らかになったわけです。
逆に考えれば、高齢者ほど長鎖のセラミドを多く含む天然ヒト型セラミドが効く
ってことなんだろうと。
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