NEIL1
日本メナード化粧品は、メラニンやコラーゲンの量、肌の明るさやシワの深さに
NEIL1と呼ばれるDNA修復酵素の発現量が関係していることを発見したとの
発表をしました。
NEIL1の発現が低い肌では、紫外線などで損傷を受けたDNAの修復が滞り、
シミやシワなど複合的な肌悩みが生じやすくなると示唆されたというわけ。
まず、遺伝子となるDNAがどの生き物にも存在しており、
種の保存という意味でも、個体を維持するという意味でも
DNAの配列は維持されないといけないものです。
しかしながら、DNAは不変のものではなく、紫外線や活性酸素によって
容易に壊れてしまいます。
壊れることはしょうがない、それをちゃんと修復することができれば問題ない
ってことで、細胞内にはDNAを修復する酵素が存在します。
その1つがNEIL1というわけ。
DNA修復酵素は何種類か存在するわけですが、NEIL1は加齢に伴い現象すること
が確認されています。

これもメナードが発見した研究成果です。
NEIL1の減少が老化を加速させるとのことが示唆されたのですが、
これは当たり前の話で。
老化細胞とは細胞分裂をストップした細胞のことで、その原因は主に2つ。
1つはテロメアによって管理されている細胞分裂回数の限界に達した場合、
もう1つはDNAに致命的なダメージがあった場合。
DNA修復酵素があるおかげで、ある程度のDNAへのダメージは
修復されるわけですが、その修復が行われないと、その細胞は
老化細胞となって分裂を停止します。
老化細胞は炎症因子を放出するため、隠れ炎症を引き起こすほか、
その影響で回りの細胞も老化細胞化します。
老化細胞を予防するという意味ではDNA修復酵素は非常に有効なわけ。
NEIL1が特に年齢との負の相関があり、同じDNA修復酵素であるERCC1は
年齢による活性の差は確認されませんでした。
じゃあ、NEIL1を増やすようなものを見つけてこれば、老化の予防になるのでは
ってことでメナードが目を付けたのが霊芝。
ただの霊芝ではなく、亜臨界水抽出技術によって得られた霊芝エキスに
NEIL1の発現量を高める効果があることを見出しました。
霊芝の亜臨界水抽出物を処理した表皮角化細胞ではNEIL1遺伝子の発現量が
180%くらいになり、線維芽細胞では500%となりました。
まあ、in vitroなの実際の肌ではどこまで作用するかはわからんけどね。
ただ、霊芝亜臨界水抽出物にはDNA修復酵素を増やす効果があり、
それに伴い抗老化作用があるというのは確実だと思われます。
そもそもの話、なぜNEIL1が加齢と共に減少するのか?
ってことを詰めていけば、もっと有効な手を打てるのではないか
とは思います。
仮説としては小胞体ストレスによって酵素が作られにくくなる、
遺伝子のメチル化で発現しにくくなる、
作られる酵素には限界があるとする酵素寿命説などなどがあります。
この霊芝抽出物の作用機序がわかれば、その原因も明らかになるかもね。
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