M2マクロファージがコラーゲンにとって重要だったという話
資生堂は、M2マクロファージが線維芽細胞に働きかけてコラーゲン線維を
太く丈夫にする機能を持つことを発見したとの発表をしました。
マクロファージは白血球の一種で食細胞とも呼ばれます。
マクロファージはM1とM2の2種類が存在するとして、
M1は炎症を促進し、感染防御に大きく貢献する一方、
M2は炎症を抑え、組織修復を促します。
コラーゲンは産生→育成→分解→消化をぐるぐる回しているんだとか。
骨とかと同様、産生と分解を繰り返してコラーゲンも代謝しているわけです。
コラーゲンを太く丈夫にするにはM2マクロファージが欠かせないってわけ。
骨で例えると骨芽細胞がM2マクロファージで破骨細胞はM1マクロファージに
あたるのかなーと。
上図がM1マクロファージとM2マクロファージをそれぞれ添加した結果、
M1マクロファージを添加した場合は、細く脆いコラーゲンになり、
M2マクロファージを添加した場合は、太く丈夫なコラーゲンになるとのこと。
片やコラーゲンを育て、片やコラーゲンを分解するわけですから、
ここまで明確な差がでたのだと思われます。
正常なコラーゲンの代謝にはどちらも欠かせないので、
あくまでバランスが大事ってことになるのかな?
まあ、加齢によるシワやたるみの原因として、コラーゲンの劣化が挙げられ、
その要因の1つがマクロファージのM1/M2のバランスの崩れがあるのだろうと
考えられます。
で、M2マクロファージの分化を促進する薬剤として「セイヨウバラ抽出液」が
有効であることを見出しました。
バラの抽出液になるんですが、花なのか葉なのか実なのか・・・
たぶん花でしょうけど。
既存の原料ではセンチフォリアバラ花エキスが主流。
原料としては東洋発酵のROSE CRYSTA®が有名かな。
抗菌作用、抗ウイルス作用などがあり、コロナ禍ではかなり注目されました。
あとは一丸ファルコスの ファルコレックス バラ P、
丸善製薬のバラ抽出液BG、香栄興業のバラエキスSなどがあります。
コラーゲンというよりはヒアルロン酸の分解を防ぐ的な効果が
確認されている感じです。
海外の原料では
Rosaliss(アシュランド・ジャパン)
VEGETOL ROSE MCF 789 HYDRO(Gattefosse S.A.S.)
ROSE COCKTAIL HYDROGLYCOLIC EXTRACT (GREENTECH S.A.)
が挙げられます。
傾向としては、皮膚修復作用があるとかなんと。
既存の原料を使ったのか、独自開発した原料なのかは知りませんが、
近い将来、このデータを元にした化粧品が世にでてくることでしょう。
おそらく商品イメージも「バラ」によせてくると思われます。
マクロファージが云々ゆうても、ほとんど伝わらないでしょうし、
そもそも謳えないわけですから、バラっていうなんか良さげなイメージを
使って商品展開してくるでしょう。
毎度思うけど、資生堂って難しい話が好きですよねー
製品開発部ではなくて、純粋な研究所があるが故なんでしょう。
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