ビタミンCの新知見

昨今の化粧品は難しいこと言いがちだよなー
生物学で習わないことがいっぱい出てくる・・・
ロート製薬がビタミンC(L-アスコルビン酸)がDNAの脱メチル化を介して
表皮の細胞増殖を促進し、表皮の厚みを増加させる新たなメカニズムを明らかにしました。
ビタミンCの働きとしては、抗酸化作用とコラーゲン合成酵素の補酵素に
なることが知られていました。
ここにきて、それだけではないってことが明らかとなったわけです。
ここで知っておかねばならないのがエピジェネティクス。
エピジェネティクスとは、DNAの塩基配列は変化しないまま、
遺伝子発現のオン・オフを制御する仕組みのことです。
分かりやすく言うと、遺伝子には鍵が付いているものがあって、
その鍵を開けないと使えないわけです。
この鍵の開け閉めで遺伝子の発現をコントロールすることを
エピジェネディクス。
直訳すると「遺伝子上の装飾」ってことになります。
DNAの塩基は
A(アデニン)
T(チミン)
C(シトシン)
G(グアニン)
の4つで構成されています。
そのうちのシトシンが5-ヒドロキシメチルシトシンとなることをメチル化といいます。
シトシンに何かくっつくわけです。
メチル化したシトシンは翻訳することができなくなるので、
その部分の遺伝子の発現が抑制されます。
このメチル化を解除する酵素が存在しており、それがTET(DNA脱メチル化酵素)になります。

ビタミンCがTETの補酵素として働くってことが今回明らかとなったわけです。
で、脱メチル化によって細胞増殖に関わる12の遺伝子が活性化されることを
発見しました。
ビタミンCがあるとないとでは、表皮の厚さに大きな差がでることも
明らかにしています。
ビタミンCがTETの補酵素として働き、TETを活性化
↓
シトシンの脱メチル化が起こる
↓
細胞増殖に関わる遺伝子が活性化
↓
表皮細胞が増殖し、表皮の厚みが増す
ってな仕組みが明らかとなったわけ。
ただし、ビタミンCが全くない状態との比較になるので、
実際のヒト試験では明確な差は出ないと思われます。
ビタミンCを塗布しなくても、肌へのビタミンCの供給はあるため、
ビタミンCが全くないって状態は普通は起こりませんから。
ですので、化粧品としてのビタミンCの有用性を示したわけではなくて、
あくまでビタミンCがエピジェネティクスに関わっているってことを
明らかにしたにすぎません。
つまり、塗布でビタミンCを補ったからといって、表皮の厚さが増すわけではないってこと。
メチル化が起こる理由は、細胞って無限に増えたら困るわけです。
秩序だって、例えば皮膚を構成してもらわないといけないわけ。
必要以上に増えないようにコントロールする手段として、シトシンのメチル化が
起こるってなわけ。