幹細胞コスメへの誤解

意外に勘違いされてる人が多い、幹細胞コスメ

ヒト幹細胞を謳う化粧品が、昨今溢れているわけですが、

意外に誤解されている人が多いと感じたので、それついて書いていきたいと思います。

 

まず、幹細胞ってのがなんで注目されるようになったのかって話ですが、

動物細胞ってのは不可逆的で、一度分化した細胞は、それ以外にはなれません。

あなたを構成している約60兆個の細胞は、色々な形態をとっていますが、

元をたどれば、すべて1つの細胞にたどり着きます。

そう、受精卵ですね。

 

たとえば、骨の細胞は骨の細胞以外にはなれませんし、

筋肉の細胞は筋肉細胞以外にはなれません。

当然、受精卵のように、何にでもなれるって状態に戻ることもないです。

 

で、今まで不可能であったことが可能になった出来事があります。

それがiPS細胞。

人工多能性幹細胞 (induced pluripotent stem cells)のことで、

生体から得られた細胞から分化万能性を有した細胞、

つまり幹細胞を作ることに成功したことで、2012年に山中氏らが

ノーベル賞を受賞しました。

 

また、2014年には捏造として闇に葬られたSTAP細胞が世間を賑わせました。

 

そんな背景から、幹細胞は凄いってなイメージが出来上がったわけです。

 

ただ、動物では非常に難しい幹細胞化ですが、

植物では非常に簡単にできます。

私自身も大学の授業で作ったことがあるくらい。

 

最初にでてきたのが、リンゴの幹細胞培養液。

以後、あらゆる植物で幹細胞培養液が販売されるようになりました。

 

幹細胞って言葉が独り歩きしているので、植物幹細胞ってだけでも

なんか凄そうってなイメージが働いて、結構流行りました。

 

 

で、昨今流行っているヒト幹細胞培養液がでてきたのは、

そのすぐ後になります。

 

ただ、ちょっと不思議に思いませんか?

ノーベル賞を取るような世紀の大発見が、そこいらでポンポン作れるもんなのか?と。

 

ES細胞、iPS細胞は分化多能性をもっており、

最先端の医療で利用が期待されるものです。

あらゆる細胞に分化できるこれらの細胞は万能細胞と呼ばれています。

 

で、今、化粧品に使われている幹細胞は万能細胞か?

って話ですが、答えはNOです。

 

一番使われいるのがヒト脂肪細胞順化培養液になるかな。

ヒトの脂肪組織にある体性幹細胞を取ってきたもので、

脂肪吸引とかするので、比較的採取が容易。

 

これは脂肪組織に必要な細胞、脂肪細胞のほか、血管、神経をつなげる必要があるので、

複数の分化を行うことができますが、世間を騒がせた万能細胞には程遠いです。

 

 

で、幹細胞コスメで使われているので、

あくまで幹細胞を培養した液体。

幹細胞は含まれません。

植物幹細胞も同じ。

 

培養液なので、正直、iPS細胞とかでできること、期待されていることとは

全く異なるんすよねー。

同列に語ること自体が烏滸がましいというか。。。

 

培養液にはいわゆる幹細胞から、有用な成分が作られ、放出されていますので、

培養液自体には効果はあります。

ただ、あんまり夢を見られても困っちゃうかなとも思います。

 

なんだ、幹細胞入っていないのかって思われるかもですが、

自分の体から取ってきたものならいざ知らず、他所様の細胞なんて、

ただの異物で、拒絶反応の原因にしかなりません。

逆に入ってたらヤバイっすよ。

 

まあ、薬機法的にも幹細胞が入ってたら化粧品には使えないんでないかな。

 

 

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