若返りの薬?!

薬で若さを取り戻せる日がやってくる・・・のか?

アメリカとオーストラリアの共同研究チームによる研究で、

ハツカネズミの老化プロセスを停止させ、さらに細胞を若返らせることに成功。

なんと、この成果は人間でいうと60歳の高齢者を20歳の若者に変えるのに匹敵する

「若返り」とのことでした。

 

Declining NAD+ Induces a Pseudohypoxic State Disrupting Nuclear-Mitochondrial Communication during Aging

 

Anti-ageing compound set for human trials after turning clock back for mice

 

2014年には臨床実験がスタートしているはずで、今はどうなっているのやら。。。

 

 

ハーバード大学とオーストラリアにあるニューサウスウェールズ大学の共同研究チームは、

2歳のハツカネズミに投薬することで、わずか1週間で細胞を6ヶ月の状態に若返らせることに成功しました。

これは人間に換算すると60歳が20歳に若返ったのに相当するそうな。

 

研究チームによると、ミトコンドリアと核とのコミュニケーションの減少が

老化に関わっていることを突き止めたそうです。

細胞には核以外に、ミトコンドリアにもDNAが存在します。

 

これは、ミトコンドリアがもともと別の生物で、

ある時を境に共生するようになり、共進化した結果、

今の細胞になったであろうとする仮説の根拠の1つとなっています。

 

多くの遺伝子を核に依存することで、

ミトコンドリア単体では増えることができませんが、

常に核とミトコンドリアはなんらかの物質のやり取りをしています。

 

そして、ミトコンドリアの機能低下に伴い、

核とのコミュニケーションが減少していくそうです。

 

 

そのコミュニケーションに必要な物質が、

ニコチンアミドアデノシンジヌクレオチド(NAD)であり、

これを細胞に注入したところ、老化がストップ。

さらに若返ったって話です。

ミトコンドリアの活性はNADの量に依存しているとのこと。

また、長寿遺伝子と呼ばれるサーチュインの活性もNADの量に

依存しているそうな。

核酸であるヌクレオチドの片方の塩基に、ニコチンアミドつまりナイアシンが

くっついた物質ですね。

 

体内で産生される物質なので、副作用はほとんどないと思われますが、

投与にあたり、物凄いコストがかかるとかで、そこが大きな問題点となっていました。

なんと1日500万円するとか(驚)

 

 

で、今度は別の研究で、NADではなく、

NAD誘導体とでも呼べるものなのかな。

β-ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)を投与することで、

NADと同じ結果が得られたそうな。

 

つまり、マウスの実験で同等の若返りを確認できそうです。

作用機上はNADと同じで、ミトコンドリアと核とのコミュニケーションの

改善効果によって、老化を抑制します。

 

NMNが体内でNADに変化するってことですわ。

 

まあ、実際問題、これを投与したからといって、

次の朝、20歳の体になっていた・・・なんてことはないですからね。

老化のプロセスは多岐にわたっており、

不可逆的になってますからね・・・実際は。

 

ともあれ、NMNは糖尿病改善にかなり期待されており、

糖尿病以外に、アルツハイマー、高脂血症などの疾患の改善

ってのが現実的な落としどころなのかな。

 

 

余談ではありますが、NMNを配合したサプリメントはあります。

健康の維持には何かしら役に立つとは思いますが、

ご察しの通り、劇的に若返るってことはないです。

健康寿命は延びるかもしれませんが、

体が20代に戻るということはないです。

 

そのうち化粧品の原料としてもでてくるんだろーな。

ミトコンドリアにアプローチをかけるってのは悪くない発想だよな~

 

 

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