脂肪細胞は体内最大の内分泌系

脂肪細胞は単なる脂肪の倉庫ではない

我々の体の中には脂肪を蓄積する脂肪細胞というものが存在します。


脂肪細胞には褐色脂肪細胞白色脂肪細胞があり、

褐色は体の熱産生に関わっており、多くの酸素を消費し、

多くのエネルギーを生み出しています。


一方、白色脂肪細胞は長らく脂肪を貯めるだけの倉庫のように

考えられてきました。


しかしながら、近年、白色脂肪細胞が脂肪をただ単に貯蓄しているだけではなく、

体内に多大な影響を与えるホルモンの製造場であることが分かっています。


しかも、作られるホルモンが正常時と肥満時では異なり、

それにより様々な病気を誘発していることも分かっています。


ちなみに、ホルモンの材料は脂肪。

若い子が無理してダイエットして、生理が止まってしまったという話はよくありますが、

これはホルモンの材料である脂肪が不足し、女性ホルモンが十分に作れないことが原因です。


ダイエットで脂肪を完全に断つってのは脂肪を取り過ぎるのと同じくらい、

病気のリスクを高めます。



さて、通常時はレプチンアディポネクチンというホルモンを多く産生しています、

レプチンは満腹ホルモンと呼ばれ、食欲にブレーキをかけるホルモンです。

アディポネクチンは血液中のブドウ糖を細胞に取り込むのを促進したり、

傷ついた血管の修復を促す効果があります。



肥満の人はまずレプチンの産生が増加します。

これはレプチンによる食欲抑制が起こらないため、

どんどんレプチンを放出しているわけです。


例えるなら、目覚まし時計が鳴っているのに、全然起きないから、

さらに大きな音を出して起こそうとしているような感じです。


で、何が問題かって、食欲が抑制されないわけです。

いくらでも食べれてしまうというわけで、

肥満は加速してしまいます。


アディポネクチンは肥満になると減少します。

アディポネクチンはインスリン様作用があるわけですが、

これが不足すると、血糖値が下がりにくくなります。


さらに、TNF-α、レジスチン、アンデオテンシノ―ゲンなどが増加。

これらの増加は動脈硬化の進行を促すことが分かっています。


さらに、アディポネクチンは癌細胞の増加を抑制する作用もあり、

アディポネクチンの減少は癌のリスクも高めるとも言われています。


いわゆるメタボリックシンドロームは、

高血圧、高脂血症(今は呼び方変わったんだっけ?)、糖尿病、肥満となるわけですが、

肥満は悪名高い3つの病気に肩をなればる病気の1つなんです。


肥満は高血圧、高脂血症、糖尿病、どれも誘発するわけですから、

病気の親許みたいなものです。


そして、癌のリスクを高め、動脈硬化は脳梗塞、心筋梗塞などの血管系の疾患に直結します。



ですから、メタボリックシンドローム(生活習慣病)を予防すれば、

多くの病気の予防になるわけです。


ちなみに、これらは薬では治りません。

断言してもいいです。


方法は皆さんもご存じの通り、食事制限と適度な運動。

それ以外にはありえません。


ましてやサプリメントで何とかなるもんでもないです。



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