肥満のサイエンス

なぜ太る?どうして病気を招く?

肥満度を表わすBMI

BMIとはBody Mass Indexの略で、

体重(kg)÷身長(m)×身長(m)により表わされる

肥満の程度を表わす指標です。

 

世界的にはBMIが30以上を肥満としていますが、

日本では基準が厳しく設定してあり、25以上で肥満としています。

 

BMIと病気の相関性

結論をいえば、BMIが高いほどたくさんの病気になりやすくなります。

BMIが22前後の人に比べ、BMIが30を超える人は、

高血糖では1.5倍、脂質異常症では3.5倍、高血圧は3倍であった

との報告があります。

 

ちなみにBMI22が標準。

 

また、脳梗塞、心筋梗塞などの血管疾患のリスクも格段にあがります。

死の四重奏と言われる、高血圧、糖尿病、高脂血症、肥満。

1つあることにリスクが倍々していきます。

肥満であると、その他の疾患を持っている可能性が高いので、

普通の人に比べ16倍、血管疾患になりやすいといわれます。

 

また、肥満と高血糖が重なると、ガンへのリスクが3.4倍になります。

 

男性では肥満と大腸がんの相関があることがわかっており、

女性では乳がん、子宮がんのリスクが高まります。

 

白色脂肪細胞が脂肪をため込み、パンパンに

脂肪を蓄える細胞が白色細胞と呼ばれ、

文字通り白い細胞です。

霜降りの白いところ、あれが脂肪細胞なわけです。

 

標準体重の人と比べると、肥満の人の脂肪細胞の体積は

なんと3倍!!

細胞の数は同じですからね。

 

ちなみに、褐色脂肪細胞は脂肪を積極的にエネルギーに

変換する細胞ですが、年齢と共に徐々に減少していきます。

背中の肩甲骨あたりに多く存在しているので、背中を鍛えると

良いと言われています。

 

脂肪細胞は内分泌器官

肥満が良くないのは言うまでもないわけですが、

脂肪は人にとって、必要不可欠な成分です。

 

脂肪細胞はさまざまなホルモンを作る工場でもあります。

1.アディポネクチン

血中の糖を速やかに細胞に取り込ませる、

インスリンのような働きや、傷ついた血管を修復する

働きがあり、動脈硬化を抑制します。

太っていくいつれて、減少していくので、

結果として糖尿病や血管疾患のリスクが高まると言われます。

 

2.レプチン

食欲を抑制する作用があるホルモンですが、

肥満細胞が肥大すると共に、増加していきます。

そのためか、レプチン耐性ができてしまい、

満腹感が出にくくなります。

 

3.TNF-α

血中からブドウ糖を取り込むのを抑える物質。

アディポネクチンと拮抗関係にあり、バランスを取っています。

肥満に伴い増加傾向にあります。

 

4.アンジオテンシノ―ゲン

血管を収縮させるアンジオテンシンになる酵素。

血圧の調整をします。

 

5.PAI-1

止血作用がある物質。

量が増えると血栓の原因になります。