腸内の菌叢は丸ごと重要

プロバイオティクスの新しい考え方

「乳酸菌を食べて腸内環境を整えよう」

「善玉菌を増やそう」

 

今までのプロバイオティクスの考えは、

悪玉菌、善玉菌がいて、善玉菌が増えると健康、

悪玉菌が増えると病気になる・・・

 

ざっくり言えば、こんなとこ。

 

ただ、ここ最近、ちょっと考えを改める必要があるのでは?

との議論が持ちあがっています。

 

宿主と共生微生物を合わせて本当の意味での個体

近年、ゲノム解析の速度と精度が飛躍的に上がり、

腸内の菌叢をまとめて解析するメタゲノム解析が可能になりました。

 

その結果、同じ衣食住、血縁関係にあったとしても、

この菌叢の多様性は個体ごとで異なることがわかりました。

一卵性の双子ですら、異なるそうです。

 

つまり、遺伝子と同等に腸内細菌の菌叢は個体形成に

関わっているのではないか?というわけです。

 

 

ヒトの血中に存在する小分子量の物質の36%は腸内細菌由来

ビタミンB群は腸内細菌により作られているので、

普通は欠乏することがありません。

 

また脳内物質のセロトニンは90%以上は腸でつくらており、

ストレスと腸内環境の関係性も注目されています。

 

最近の研究では、

・抗生物質を乱用すると、ぜんそくが悪化する原因は

腸内細菌が減少し、カンジダ菌(カビの一種)が増え、

その産生物が血流を巡ることがわかりました。

 

・メタボリック症候群のマウスの菌叢を

無菌のマウスに移植したところ、無菌のマウスは

メタボリック症候群になりました。

糖尿病の菌叢、高血圧の菌叢、肥満の菌叢

そうなり易い菌叢があることがわかっています。

 

・過剰な免疫反応を抑制する仕組みは

腸内で食物繊維が分解されることでできる物質が

関与していることがわかりました。

その物質でとくに酪酸が免疫を抑制する作用が高く、

大腸炎のマウスに酢酸を摂取させることで、

症状が緩和したとの報告もあります。

 

 

堅苦しい話はこれくらいにしておいて、

要するに、今までの乳酸菌の●●株を取ると●●という効果がある

みたいな簡単な話じゃないんじゃね?ということ。

 

例えば、A株を摂取することで、血圧が下がるという結果がでたが、

A株に血圧を下げる効果があるのではなく、A株が大量に投与されて、

血圧が高い菌叢からそうでない菌叢に変化しただけなのでは?

ということ。

 

そして、血圧が上がったから菌叢が変わったのではなく、

菌叢が変わったから血圧が上がったのではないか?

という見方をすれば、病気の治療も根本的に変わってくるかもしれません。

 

さらに一歩踏み込むと、

若いころの腸を維持できれば、若さを維持できるのでは・・・?

腸内細菌

カナリ大雑把ではありますが、

歳を取ると、ビフィズス菌が減り、ウェルシュ菌が増える

という傾向があります。

 

ウェルシュ菌はおならの臭い原因物質を作り、

老化を促進させる物質(毒素)を出していると言われています。

 

では、ビフィズス菌を取り続ければいいのでは・・・

という発想になりますが、一定の効果がありますが、

実際に若い頃と変わらぬ菌叢を維持するまではいかないわけです。

 

若い菌叢を保つ、もしくは若い頃の菌叢にするようなものが、

できれば、ビジネスチャンスになるかもしれませんね~

 

ポイントはビフィズス菌を増やし、ウェルシュ菌を減らこと。

 

現状では、肉食を減らし、野菜(食物繊維)を沢山とるのが対策になってくるみたいですが。