AhR調整薬
塩野義製薬と鳥居薬品はタピナロフ0.5%クリーム剤について、
乳幼児のアトピー性皮膚炎患者を対象とした国内第Ⅲ相非盲検非対照試験の
中間解析で良好な結果が得られたと発表しました。
生後3カ月以上24カ月未満の乳幼児アトピー患者にタピナロフ0.5%クリーム剤を
52週間にわたり投与したそうな。
昨年10月に2歳以上12歳未満の小児ADを適応症として、製造販売申請を行っており、
秒読み段階に入ったと見てよいでしょう。
タピナロフは非ステロイドのアトピー治療薬となります。
芳香族炭化水素受容体(AhR)調節薬と呼ばれるものになります。
AhRとは外部からの有害物質を感知するセンサーみたいなもので、
有害物質などを感知し活性化したAhRは様々な遺伝子を活性化させる
転写因子となります。
トリガーとなる物質はダイオキシン類や多環芳香族炭化水素
(タバコの煙や排気ガスに含まれる成分など)が代表的。
また、腸内細菌が作り出す物質を感知し、腸管のバリア機能や免疫系のバランスを保っています。
皮膚にも多く存在し、紫外線ダメージの防御やアトピー性皮膚炎の
炎症コントロールなどに関わっています。
まあ、要するにタピナロフはAhRを活性化させるというわけ。
AhRを活性化することで、炎症物質の産生を抑制し、バリア機能の修復を促し、
抗酸化物質の産生を促します。
中等症~重症の12歳以上のアトピー性皮膚炎の方を対象とした臨床試験において、
タピナロフのみを8週間塗布したグループでは20.24%の方で症状が消失またはほぼ消失。
52週間継続塗布したグループでは、41.3%の方で症状が消失またはほぼ消失したとのこと。
副作用としては塗布部位の毛包炎、ざ瘡、かぶれ、および頭痛が起こる場合があるとのこと。
軽症な場合が多く、重篤な症状は報告されていないとのこと。
基本的に安全性は高いとされているのですが、乳幼児への使用がされていなかったのは、
AhRが活性化するってことは毒素であるのでは?という懸念があったから。
それがこの度、払拭されたというわけ。
アトピー疾患のお子様を持つ方には朗報になるんでないかな。
今後、タピナロフが0.5%配合したクリームが販売されることになると思われます。
(現在は1%品しかありません)
さて、化粧品にも応用できるかどうかって話なのですが、
もちろんタピナロフを使用することはできません。
ただ、AhRを活性化する成分の使用は可能ではあります。
候補としてβ-ディフェンシンが上がっており、これは抗菌ペプチドの一種です。
AhR活性剤のほか、オートファジー活性剤として特許申請が行われています。
β-ディフェンシンの放出を増加させる成分は
●PrimalHyal 300
ヒアルロン酸をすんごく細かく分解したもので、分子量300~600と非常に小さく
肌の奥まで浸透します。
高い抗菌性を示すほか、創傷治癒効果を高めます。
●ゴールデンニーム
ポーラオリジナルの原料でニームの葉から独自の抽出を行ったものだそうな。
β-ディフェンシンの産生を高める効果があるとのこと。
●ECOSKIN
オリゴ糖と乳酸桿菌などからなる混合製品。
●ブランクリア
米ぬかを乳酸桿菌で発酵させて得られた培養液。
β-ディフェンシンの遺伝子発現が4倍近くになるとのデータがあります。
発酵培養液には多かれ少なかれ、β-ディフェンシンを増やす作用があるみたいです。
