皮脂RNA モニタリング®技術がもたらすもの
この話、前提として知っておかなきゃいけないこととして、
RNAとは何ぞやってこと。
RNAはリボ核酸(ribonucleic acid)のことで、コロナ禍で
度々目にしていたのではないでしょうか。
コロナウイルスの遺伝子はRNAで、コロナウイルスのワクチンと
して使われたのもmRNAでした。
ヒトの遺伝子はDNAで、RNAはその親戚みたいなものです。
DNAはあくまで遺伝情報であり、データバンクでしかないので、
一旦情報を外に持ち出す必要があります。
使う部分だけコピーして持ち出したものがmRNA(メッセンジャーRNA)となります。
mRNAを鋳型にtRNA(トランスファーRNA)がアミノ酸を運んできて、
並べていきます。
並んだアミノ酸をリポソーム内の酵素でくっつけていき、アミノ酸の鎖が出来上がります。
これを小胞体で折りたたんだり、装飾したりして、アミノ酸が完成します。
あらゆるタンパク質がこの工程を経て作られます。
つまり、mRNAを調べれば、何が体の中で起こっているかというのが分かるってわけ。
しばしば、●●エキスを添加することで、○○遺伝子の発現が2倍になったという
ような試験結果が公開されていますが、これもmRNAを調べたものになります。
DNAの遺伝子はすべて同時に活性化しているわけではなくて、
状況に合わせて使い分けています。
これをエピジェネティクスといい、遺伝子のON/OFFをする仕組みがあります。
どの遺伝子がONになっているかを見れば、肌の状態を把握できる・・・
と考えたわけです。
しかしながらmRNAを抽出しようと思ったら、細胞を切り出して
抽出、分析しないといけない。
mRNAを調べたデータは基本的にはin vitroなわけで、生きたヒトで直接的に
調べる方法がなかったわけなんです。
そこで目を付けたのが皮脂。
花王が皮脂中にヒトに由来するmRNAが存在することを発見し、
その種類はなんと約10,000種だったとか。
このmRNAを網羅的に分析する技術を確立し、皮脂RNAモニタリング®技術と命名しました。
わざわざヒト由来のと書いてあるのは、肌には常在菌がたくさん存在しており、
菌由来ではないよってことが証明できたから・・・だと思います。
これによって、あぶら取り紙のようなフィルム1枚で、
簡単手軽に肌のmRNAを解析することが可能となりました。
顧客一人一人からmRNAをサンプリングし、その人に合った化粧品を
提供するってなサービスにつなげるんだとか。
また、化粧品の合う、合わないも皮脂RNA解析で分かるとか。
ちょっとどういう理屈なのかは理解できないのですが・・・
皮脂RNAの情報を基に化粧品のコンサルをしてくれるんかな?
正直、得られたmRNAの情報をどのように扱い、どのように分類するのかは
定かではありませんが、一例を挙げると、
アトピー性皮膚炎患者の皮脂RNAを解析したところ、炎症関連遺伝子の発現が増加、
表皮角化関連遺伝子の発現が減少、脂質合成関連遺伝子の発現が低下していることが
確認されました。
つまり、炎症関連遺伝子の発現が多く、表皮角化関連遺伝子、脂質合成関連遺伝子が少ない
となると症状は出ていなくても、潜在的なアトピーである可能性があると言えるとか?
また、暦年齢と相関する皮脂RNAを探索したところ368種のmRNAが同定されたとのこと。
これらは老化に関わる遺伝子群とのこと。
これらの遺伝子の発現をコントロールできれば、実際の年齢よりも若々しい肌年齢でいる
ことが理論的には可能となるとかなんとか。
もっとも、まだこの分野には足を踏み入れたばかりですから、
今後の研究に期待って感じ。
将来的には肌だけでなく、健康状態も把握できる可能性・・・
例えば特定の病気で特定の皮脂RNAの状態が紐づけられ、
遠隔での診断が可能となるとか。
現状、パーキンソン病にて、ミトコンドリアの酸化的リン酸化に関連する
遺伝子群の発現が変動していることが確認されています。
同様に、癌だとこう、糖尿病だとこうってなことにも使えるのかも。
