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老化に関わる原因

スキンケアに今後求められる機能

科学の進化に伴い、老化の原因が次々と明らかとなってきました。

今後のスキンケア商品に求められる効果に直結するものですので、

まとめてみました。

現段階でって話なので、将来的にはもっと増える可能性は高いです。

 

●ゲノムの不安定化

ゲノムってのは遺伝情報の総称で、要はDNA関連の話。

分かりやすいところだと、紫外線によってDNAが損傷することで

細胞分裂が止まり老化細胞になります。

 

つまり、DNAのダメージを軽減する、DNAの修復を促すって効果が

求められるというわけです。

まあ、日焼け止めがある意味、最も効果的なDNA保護効果があると言えるんですが。

 

最近では霊芝の亜臨界水抽出物が細胞のDNA修復酵素を増やすって研究結果を

メナードが発表しています。

有名な原料はAC-11(キャッツクローエキス)があり、DNA修復効果が確認されています。

 

 

●テロメアの減少

テロメアは染色体の先端に位置する意味のない連続的な配列のことで、

染色体は細胞分裂をする際に、遺伝情報を荷造りしたものになります。

テロメアは細胞分裂するたびに短くなり、細胞分裂の回数を制御しています。

テロメアを使い切ってしまった細胞は分裂できなくなり、

老化細胞になります。

 

テロメアの修復を行う、もしくはテロメアの消費を抑えることができれば、

老化細胞の発生を抑制することにつながります。

 

最近では桜の花エキスにテロメア延命効果が確認されています。

 

 

●エピジェネティックの変化

エピジェネティックとは、発現する遺伝子を調整する機能。

たとえば、蝶は芋虫から蛹になって蝶になるわけですが、

遺伝情報は同じです。

活性化する遺伝子に違いがあり、形態に大きな違いを生んでいるわけ。

 

老化に関わる遺伝子ってのは生まれながらにもっていますが、

この遺伝子はロックされており、若い時はつかわれません。

しかしながら、このロックを解除する鍵が作られるようになって、

その封印が解かれ老化が進むという事が起こります。

 

逆に若返りに関わる遺伝子がロックされて、老化が進みってなこともあります。

 

この分野ってまだまだ謎が多いのですが、近年マイクロRNAが

その役割を担っているとかで注目が高まっている分野です。

 

バイオベネフィティ(アーティチョーク葉エキス)は老化遺伝子の鍵となる

NF-kBの活性化を抑える効果があります。

ヒアルガード(カワラヨモギ花エキス)もエピジェネティックによるもので、

マイクロRNAであるmiR-486-5pを作り出すことで、ヒアルロン酸代謝酵素の

発現を抑制していることが分かっています。

 

 

●プロテオスタシスの消失

タンパク質の折りたたみとか、装飾を行う部分に問題が起こることです。

小胞体ストレスのことですね。

 

DNAから転写、翻訳が行われるのはアミノ酸の鎖になります。

これを立体的に組み立てて、意味のあるタンパク質にするのが

小胞体になります。

 

これが機能しないと、必要なタンパク質、酵素やホルモンなどが減少するほか、

不良タンパク質が蓄積することで、細胞が機能不全を起こします。

 

病気の原因のほとんどに関わっているといわれます。

 

こちらはペンタデシル(オーランチオキトリウムリマシヌム油エキス)の独断場です。

たった0.001%配合するだけで効果があるので、今後採用は増えてくるでしょう。

 

 

●オートファジーの不活性化

オートファジーとは細胞内の掃除屋のことで、機能しなくなった小器官を

分解し、それらを資源として再利用するというもの。

 

老化細胞の除去にも関わってきます。

 

例えばミトコンドリアはエネルギーを産生する場ですが、

機能が停止してしまった場合、速やかにオートファジーされる必要があります。

もし、オートファジーが機能しなかったら、ゴミとなったミトコンドリアが

いつまでも居座り、新しいミトコンドリアを作れません。

 

結果、エネルギー産生が低下するわけです。

 

アクアタイドが有名かなー。

昨今はオートファジー関連の原料が増えては来ています。

ナチュセラローションS.Eはまさにオートファジーに特化した化粧水となっています。

 

●栄養感知の調整異常

栄養感知とは、生体が体内の栄養素の量や状態を認識し、

それに応じて体の機能や行動を調節する仕組みです。

栄養感知経路の制御不全は老化の指標ともされており、健康維持には欠かせない

部分となっています。

 

あんまり現状では思い当たらないのですが、レチノイド耐性が該当するのかなー

レチノイドが過剰に増えすぎると、レチノイドが核内に入らないように

吸着するタンパク質が産生され、レチノイドの作用を抑えるようになります。

 

こんな感じで栄養源の取捨選択が体の中で行われているというわけ。

 

まあ、化粧品というよりは経口摂取するもののほうが大きく関わってくるかな。

 

 

●ミトコンドリア機能障害

ミトコンドリアはエネルギーを作る細胞内小器官。

生命活動において、すべてに関わってくるエネルギー。

その源になるミトコンドリアの機能不全は老化を加速度的に進めます。

 

たとえば、コラーゲンを作るのにもエネルギーが必要となり、

エネルギー不足はコラーゲン不足を招き、シワやたるみの原因となります。

 

オートファジーの一種のマイトファジーはミトコンドリアを分解し、

新たなミトコンドリアの生成を促します。

直接エネルギーを入れるって方法もこの問題の解決策の1つになるかな。

 

ネオダーミルとかATPが直接的にエネルギーを肌に与える系のものになります。

紫茶エキスにはミトコンドリアを増殖する効果が確認されています。

 

 

●老化細胞

細胞分裂ができなくなった細胞を老化細胞と呼びます。

老化細胞は炎症誘発物質を放出するため、周りの細胞も老化細胞化させます。

 

老化細胞を作らせない、老化細胞を除去するというスキンケアは必要不可欠。

クロトーホルモンを模したクロシデンは細胞の老化を抑制するほか、

オートファジーは老化細胞の除去にもつながります。

 

 

●幹細胞の枯渇

幹細胞は年齢と共に減少していきます。

幹細胞は新しい細胞を生み出す場であるため、これが減ることは

老化に直接的につながっていきます。

 

現状では幹細胞培養液を使うくらいかなー

 

 

●細胞間コミュニティーの変化

今はやりのエクソソーム関連の話。

エクソソームを使って細胞間で情報のやり取りをしており、

その情報によっては若返りを促すことも、老化を促すこともあり、

単純にエクソソームを取り入れればよいってわけでもないんですがね。

 

ダームコムには細胞間のやり取りを正常化する効果が確認されており、

ヒト試験でコラーゲンの増加が確認されている数少ない原料です。

 

 

●慢性炎症

この慢性炎症のほとんどは老化細胞からでる炎症誘発物質によるもの。

炎症を抑えることは老化を予防する最も手っ取り早い方法だといえます。

 

ナチュセラ零は正に慢性炎症を抑えるために作られた抗炎症特化の美容液です。

 

●ディスバイオシス

肌の常在菌の異常を称してディスバイオシスといいます。

菌のバランスが乱れることで、さまざまな異常が見られ、

それが老化への引き金になります。

 

言葉自体はマイナーですが、常在菌へのアプローチは現在盛んに行われています。 

 

ブランクリア(乳酸桿菌発酵液(コメヌカ))は肌の常在菌を多様化する

唯一の原料になります。

美肌菌を増やす、悪玉菌を減らすっていうアプローチが多い中、

かなり攻めた原料で個人的には好きです。

 

 

おそらく、今後はこの辺を網羅するような化粧品がでてくることでしょう。

弊社もこれらを意識して製品開発しています。

 

 

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