リポソームの数を計算してみよう

化学で多くの脱落者を出している分野だよなー

ときどき見かけるリポソームの数を誇示する製品。

1滴に5兆個のリポソームが含まれているとかなんとか・・・

まあ、リポソームの中身が大事で、リポソームがたくさんあったからとて

何か意味があるのかは分かりかねますが。

 

まあ、リポソームの数を計算で出していきましょうか。

この分野って正直苦手なんですよねー

苦手意識が強すぎて、頭痛いです。

 

リポソームを形成する主成分は水添レシチンになります。

水添レシチンはレシチンに水素を結合させて安定化させたもの。

レシチンよりもリポソームの安定性が高いので、化粧品では

概ね水添レシチンによってリポソーム化が行われます。

 

水添レシチンの分子量は大豆レシチンを由来としていますので、

分子式はC35H66NO7P-Hとなり644.87となります。

 

1molあたりの個数は約6.02×10の23乗個。

つまり、644gで水添レシチンが6.02×10の23乗個になります。

100nmのリポソームを形成するのに必要な水添レシチンの個数は2万個くらい。

多重層になっているとして、わかりやすく6万個としましょうか。

 

5兆個のリポソームを形成するのに必要な水添レシチンの数は

5兆×6万で300000兆個になります。

3×10の17乗個ちゅうわけですね。

 

つまり水添レシチンは0.1ml中に3×10の17乗個含まれているので、

水添レシチンは約322/100万g含まれていることになります。

322μgってことか。

製品は20mlなので、64400μg、つまり64.4mg。

 

水添レシチンの濃度が0.3%くらいでいけるのか。

クソ盛ってると思ったけど、いけないことはないのかもね。

実際は1%は入っているので、おそらくリポソームを形成するレシチンの量を

一般的なもの、つまり2万個で計算しているのかなー。

 

案外いけない数字ではないのな。

ぶっちゃけ、リポソームの数を誇示するしかできないってのは

そういうことなのかねえ。

ちゃんとしたリポソーム化をしていれば、難しい数字ではないっぽいですから。

 

 

余談ではありますが、ナチュセラクリームは水添レシチンで乳化をしており、

水添レシチンの濃度は10%くらいです。

まあ、リポソーム化の処理をしていないので、全部がリポソーム化しているわけ

ではないのですが、一部はしていると思われます。

 

水添レシチン自体が浸透性を促しますので、リポソーム化しているかは

正直、どっちでもよいんですが。

 

まあ、リポソームって言葉は医薬品でしか基本的には使用できないので、

みんなナノ化っていうんですけどね。

医薬部外品ならOKだったかな?

 

なんか当たり前に使われているので、「使ってもよくなったのかな?」って錯覚してしまいますが、

NGワードなんよなー

 

 

【関連記事】

リポソーム化って?

アシルセラミドが多重層リポソームの安定性を向上させる

リポソーム液40%の謎

<<<前           次>>>