バクテリオファージを化粧品に応用

バクテリオファージとは細菌や古細菌に感染するウイルスのこと。
上図のような形をしています。頭の中に核酸(DNA)が入っており、
あとはタンパク質でできています。
脚の部分で菌に吸着し、管を通してDNAを菌に注入します。
注入されたDNAは菌のDNAに組み込まれ、ファージのタンパク質を
合成するようになります。
菌内部で増殖したファージは宿主を溶解させて、外に飛び出します。
飛び出したファージは他に菌に感染して・・・というのを繰り返すわけです。
発見されたのが1910年頃で、当時は抗菌剤として期待されました。
実際に旧ソ連では使われていたんですが、抗生剤の登場でその姿を消します。
しかしながら、スーパーバグなど、抗生物質に耐性を持つ菌が
存在するようになり、近年脚光を浴びるようになっているとか。
高校の授業で習った以来ですので、非常に懐かしい。
まるで人工物のようなフォルムに「そうはならんやろ」と思ったものです。
このバクテリオファージを化粧品に入れたって商品があるそうで。
まさか、ここで再会することになるとは思いもよらんかったです。
バクテリオファージはヒトには感染しませんが、腸内には存在しているといわれています。
腸内で菌叢の調整役になっているのではないか?といわれています。
もしかしたら、肌の菌叢にも存在しているのかもしれません。
現段階では発見されたって話は聞かないかな。
効果としては、ニキビの原因であるアクネ菌を殺すことで
ニキビを改善するってことになるかな。
殺菌剤を使っていると、菌が耐性をもってきます。
実際に多くのニキビ薬は、最初は劇的に改善しますが、
使い続けていると効かなくなり、初期よりも悪化するってことが
しばしばあります。
そうならないように、ウイルスを利用したってなわけさね。
さて、ウイルスの目的は、自身のDNAを増やし、残すこと。
そのために細菌に感染して増えていくわけですが、
無限に増え続けたら、細菌が滅んでしまいます。
宿主が滅んだら、自身も滅びるしかないので、
一定のラインを超えると共生するようになります。
例えばエイズウイルス。
ヒトに猛威をふるっていたフェイズから共生へとシフトしています。
実際に猫のほとんどはエイズウイルスを保有しているといわます。
腸内にもファージは存在しているわけですが、
細菌を皆殺しにするわけではなくて、調整役として共生しているわけ。
おそらく、肌でも同じようなことが起こるのではないかと思われます。
最初は効くけど、徐々に効果がなくなっていくということになります。
菌側にも耐性はでてくるのですが、ウイルス側がの調整が入るって感じです。
バクテリオファージはアクネ菌だけに作用するわけではなくて、
割となんでも感染できます。
調整が入らないと顔にいる常在菌が丸っといなくなってしまいかねないわけで。
使用する場合は患部だけにつけるのがベターでしょうね。
それでも勝手に広がるでしょうけど。
化粧品は基本的には菌が一定以上存在してはいけないのですが、
これはウイルスが一定以上を規格しているんでしょう。
これは盲点ですね。
ウイルスに関しては規定がないんです。
まあ、ちょっとヤダなーと思いますが、
効果、安全性に関してはしっかりしているので問題はないんですけどね。