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パルミチン酸レチノール

レチノール誘導体

パルミチン酸レチノールはレチオール誘導体として最も多く使われています。

レチノール誘導体を使うのは、レチノールが非常に酸化しやすく、

普通に配合したらすぐに酸化してしまい、製品の安定性が悪くなってしまいます。

ですので、予め酸素が結合する部分に何かしらを先にくっつけて、

安定性を向上させるわけです。

 

ただ、パルミチン酸レチノールが最も使われるのは、パルミチン酸レチノールが

体内でも存在し、レチノールを貯蓄するときの形態でもあるからなのです。

 

レチノール前駆体なんですよ。

パルミチン酸レチノールを使用することは、非常に理に適っているんです。

パルミチン酸レチノールをレチノールに変換する酵素が備わっているので、

誘導されないってことがないわけですから。

 

誘導体を名乗りながら、実際は誘導しないってのはありまして、

有名なところでは配糖体のもの。

糖をくっつけて安定化させたものですが、我々は糖を外す酵素を

持ち合わせていないのです。

 

そのため、変換酵素を持っているかどうかってのは非常に重要。

しかも、パルミチン酸レチノールは体内に留まることができるわけで

無駄になることもない。

 

あまり大きな声では言えませんが、レチノール使うよりも

パルミチン酸レチノールを使ったほうがよいのでは?と個人的には

思っています。

 

 

じゃあ、なぜレチノールをありがたがって使うのか?って話ですが、

変換された後のほうが効果が高いとされているからです。

 

実際、レチノールよりもレチナールのほうが効果が高いですし、

それよりもレチノイン酸のほうが効果が高いです。

レチノイン酸はレチノールの100倍効果が高いといわれています。

 

レチノールからレチナールになるのはそのルートしかないのですが、

レチナールからはすべてレチノイン酸になるわけではないんです。

100%レチノイン酸に変換されるわけではないので、

そこで効果の差がでるというわけ。

 

パルミチン酸レチノールは100%レチノールになるわけではなく、

そのままの形で貯蓄に回される方が多いため、レチノールのほうが

作用が強くなります。

 

ただ、ややこしい話なのが、レチノイド受容体が2種類あって、

レチノイン酸が作用するレチノイン酸受容体で、こちらの活性は

非常に高い反面、レチノイン反応が強く出ます。

 

レチノイン反応は望ましい反応ではないので、これに対応するために

耐性ができます。レチノイン酸にくっつくタンパク質が作られ、

受容体に入らないように排除するようになります。

これをレチノイド耐性の獲得といいます。

高濃度のレチノールを使ってレチノイド反応がでたとしても、

1週間くらいで落ち着くのはそのため。

 

もう1つの受容体であるレチノイドX受容体ってのがあるので、

意味がないってことはないのですが、レチノイド耐性を獲得してしまったら

本来の効果ってのは期待できなくなります。

 

医薬部外品のレチノールはあくまでレチノイン反応が起きない前提での

データなので、レチノイド耐性を持っていたら、データ通りの結果は

でないんです。

 

長い目で見れば、レチノールを使うよりもパルミチン酸レチノールを使ったほうが

効果は高いと思われます。

パルミチン酸レチノールは貯蓄型なので、過剰に変換しないので

レチノイド反応も基本起こらないので、レチノイド耐性ができることもないです。

 

レチノイド反応を経験してしまった人は後の祭りですが、

まだって人はパルミチン酸レチノールを使うことをおススメします。

 

 

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