コウジ酸の歴史
コウジ酸は藪田貞治郎氏によって1907年に日本で発見されたとされます。
麹菌が作り出す新規の有機酸として発見され、同氏によって化学構造も決定されました。
戦後、麹を扱う杜氏の手が白く美しいことからコウジ酸の研究は加速します。
1988年には三省製薬により「美白成分」として承認されることとなります。
コウジ酸配合の化粧品が初めて世に出だたのその2年後の1990年です。
現在も医薬部外品の有効成分として使用できますが、
過去にすったもんだあったわけなのです。
コウジ酸はチロシナーゼ阻害効果があり、エビやカニなどの甲羅の変色を抑えるために
添加物として使われてきました。
また、酸化防止剤として生麵や餃子の皮にも入っていたとか。
そんな中、コウジ酸に発がん性があるとの疑惑が浮上します。
動物実験において肝がんが誘発される可能性が示唆されたためです。
そこで2000~2002年にかけて発がん性を調べるための追加試験が行われます。
結論としては、高濃度摂取において肝がんの増加傾向が確認されるものの、
日常的にそんなに摂取することはないので、問題ないって話になりました。
発がん性はあるものの、非常に弱く、過剰摂取しなければ気にする必要はないと。
とはいえ、現状でコウジ酸を添加物として使用している例はないんだとか。
確かにコウジ酸のサプリの原料見たことないわ。
ちなみに麹菌を使った食品、味噌だの醤油だのにはコウジ酸はほとんど含まれていないそうな。
発酵の過程で分解されちゃうんだとか。
マウスのエサに1~3%を反復投与している話なので、ヒト換算したらものすごい量で、
この量を普通の食生活でとるのは絶対に不可能ってレベルですからね。
ただ、そのあおりを受けて、2003年3月には厚生労働省の通達により医薬部外品への
使用が一旦中止されてしまいます。
開発元である三省製薬はそりゃ黙っているわけはなく、安全性を証明するため
多大な時間とお金をかけます。
その甲斐あって、2005年11月には使用中止の通知が撤回され、
コウジ酸配合化粧品(医薬部外品)の製造販売の再開が認められました。
近年は紅麹問題が起こり、コウジ酸は全くの別物であるってことを
説明しなければならない破目となります。
このような経緯があるため、なかなか手を出しにくいってのが現状ですかね。
医薬部外品でのコウジ酸の配合濃度は0.1~1%となってます。
コウジ酸はキレート作用が高く、チロシナーゼの銅イオンを不活性化
することによって、チロシナーゼ活性を著しく阻害します。
チロシナーゼはメラニン合成に関わる酵素で、多くの美白成分は
チロシナーゼ阻害効果によりものですが、その中でもトップクラスの
効果があるとされます。
医薬部外品でないと「美白」を謳えないので、コウジ酸は医薬部外品
以外で見かけることはほぼほぼないです。
キレート剤や酸化防止剤として配合されることはあるかもってくらい。
皮膚刺激性、皮膚感作性はないとされますが、稀に肌荒れを起こすことが
あるといわれています。
原因はさっぱりわかりませんが、加藤氏は微量の配合でも
肌が赤くなってしまいます。
昔からダメだったそうな。
まあ、優秀な原料ではありますが、うちでは使えないです。
ちなみに、安全であるといわれるのは1%までで、それ以上は
しらねって感じなので高濃度を謳っているものは注意したほうがよいです。
また、自家製のときも入れ過ぎ注意です。
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