ヨウ素の実験

茶色の液体が透明になるやつ

ヨウ素液を溶かした水にビタミンCを入れると透明になるって実験。

これって何のためのパフォーマンス?

 

ヨウ素液の中には、水に溶けやすい無色のヨウ化カリウムと、

水には溶けにくい紫色のヨウ素が一緒に混ざって、三ヨウ素化物イオンという、

茶色っぽい物質ができて水に溶けています。

 

ビタミンCを入れる酸化力の強いヨウ素がビタミンCと反応してヨウ化水素という

無色の物質に変化します。

その結果、水が透明になるという酸化還元反応を利用した実験となります。

ビタミンCは酸化して酸化ビタミンとなり、ヨウ素は還元されヨウ化水素となるわけ。

 

うがい薬のイ●ジン等でも同じ実験をすることが可能です。

 

 

ヨウ素ってなんだか体に悪そうなんで、これを仮想毒として、

ビタミンCで無毒化したっていう印象を与えることができます。

また、これを抗酸化力があるってアピールすることもあります。

 

まあ、あくまで印象操作の一環でしかないので、

この反応で「ビタミンC凄い」とはならんのですが、

購買意欲を高める効果は確かにあります。

 

ビタミンCにすごい抗酸化作用がある証拠みたいな印象操作を

しているわけですが、単にヨウ素の反応性が高いだけなんよな。

うがい薬として使われているヨウ素液でして、殺菌効果があるわけですが、

その作用機序はこのヨウ素の高い酸化力によって、菌やウイルスのタンパク質を

変性させ、不活性化させるというもの。

 

また、ビタミンCが不安定で酸化しやすいということも影響しており、

ビタミンC誘導体ではこの反応は起きません。

 

また、水溶性である必要があるのでビタミンAやビタミンEのような油溶性だと

この反応は見られません。

不溶性のオリザノールもね。

 

つまり、この実験で抗酸化作用の強さを計るものではないってこと。

 

似たような実験でDPD試薬オルトトリジン試薬を使うものがあります。

どちらの塩素の存在を示すために使われる試薬で、

DPD試薬は塩素があるとピンク色に、オルトトリジン試薬は黄色になります。

 

小学生の時にプールの塩素を調べるときに使ってるやつなので

一度は目にたことはあるって人は多いんでないかな。

美化委員のとき、週一で水道水の塩素濃度をチェックしてたけど、

正直、その時は何やってるのか一ミリも理解してなかったけどね。

 

塩素もビタミンCと酸化還元作用を示すので、さっきのヨウ素液と同様、

透明になります。

 

これも同様に抗酸化力の高さを示すものではないです。

反応したから効果があるってわけでもないですし、

反応しなかったから効果がないってわけでもないです。

 

あくまで化学反応を利用した手品みないなもの。

種も仕掛けもあるってわけさね。

 

むしろ、酸化しやすいってことを示すことになり、

安定性に不安を覚えるくらいです。

 

 

これらの実験を利用するのは、浄水器を販売するとき。

水道水には塩素が入っているんです。

ほら、ピンク色になったでしょ?

毎日、これ飲んでるんですよ?

浄水器の水はピンク色にならない。

これは塩素が除去されている証拠です!

 

みたいな。

 

あとは青色の液体があったけど、それは何か忘れたわ。

 

まあ、詐欺師みたいな人達が好んで使う手法ってことは

知っておいた方がよいかな。

 

 

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