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湿疹のかゆみ、炎症ではなく黄色ブドウ球菌が原因

湿疹のかゆみのメカニズムが解明された

Cellに掲載された内容になるのですが、湿疹のかゆみのメカニズムが

解明され、それは黄色ブドウ球菌が原因だったという話。

 

かゆみのメカニズムは謎が多く、まだ解明されていなかったのですが、

おそらく炎症によってかゆみが発生しているのだろうと考えられてきました。

一般的に知られているかゆみのメカニズムは、ヒスタミンが放出され、

痛みやかゆみを知覚する「知覚神経」に作用します。

その刺激がかゆみとして脳に伝えられると同時に、その刺激は神経の末端にも伝えられ、

神経ペプチドと呼ばれる神経伝達物質を放出させます。

そして、この神経ペプチドは肥満細胞を刺激し、さらにヒスタミンが分泌され・・・

とかゆみが増していく仕組みがあります。

 

湿疹部でも同じことが起こっているんだろうと思われていたのですが、

実は違ったというわけ。

 

結論をいうと、黄色ブドウ球菌が、痒み受容体感覚神経を直接活性化して

かゆみを引き起こすとのこと。

黄色ブドウ球菌が作るセリンプロテアーゼ V8というタンパク質分解酵素が

直接的な原因で、感覚神経細胞にこの受容体が存在しており、

セリンプロテアーゼV8がその受容体(PAR1)にハマることで、

かゆみが発生するんだとか。

 

黄色ブドウ球菌は学名Staphylococcus aureus

肌の常在菌の1つです。

感染症、食中毒などを引き起こす、いわゆる悪玉菌とされる菌です。

 

じゃあ、この菌を抹殺すればかゆみは治まるのではないか?

 

居ても悪さばかりするわけですからね。

 

とはいえ、黄色ブドウ球菌のみを死滅させるような薬剤は存在しませんし、

それを作るのは非常に難しいと思われます。

この研究もPAR1の不活性化するような方向性で研究が進められるのではないかと

思われます。

 

アトピーによる湿疹が先か、黄色ブドウ球菌の増殖が先か、

わかりませんが、どちらにせよ黄色ブドウ球菌の活性を抑えると

いうことはアトピーの治療につながると思われます。

 

 

昨今、お肌の菌活という考え方が定着しつつあります。

善玉菌と呼ばれる表皮ブドウ球菌は黄色ブドウ球菌の

増殖を抑えるといわれています。

 

また、菌叢の単調化は黄色ブドウ球菌の暴走を招きやすく、

反対に菌叢の多様化は黄色ブドウ球菌の暴走しにくいことも

わかっています。

 

今後、そういった方面の商品にとって追い風になるかもなー

と思った次第です。

 

 

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