iPS細胞を使った化粧品!?

ヒト肝細胞人工多能性細胞順化培養液

iPS細胞を使った化粧品が登場!ってな話がありまして。

まあ、すごい時代になったもんですなー

 

iPS細胞とはなんぞやって話ですが、induced pluripotent stem cell、

日本語では人工多能性幹細胞になります。

 

幹細胞ってのは、要するになんにでもなれる細胞のこと。

もともと受精卵という1つの細胞から、いろいろと分化し、

皮膚になったり、血液になったり、骨になったり、肝臓になったりとするわけです。

つまり、細胞にはあらゆる部位になるための情報があるわけですが、

それぞれに分化したものは、他のものになることはできません。

 

皮膚の細胞は皮膚にしかなりませんし、肝臓細胞は肝臓にしかなりません。

まして幹細胞になることもないです。

動物細胞に限り、分化は不可逆的なものなのです。

 

本来、不可逆なはずのものを人工的に可能にしたのが、

iPS細胞っちゅうわけです。

 

細胞のどの部位でも、なんにでもなれる万能細胞を作る技術になります。

 

iPS細胞でどのようなことが期待されるかというと、

たとえば臓器移植に使う臓器を自分の細胞から作ることができるわけ。

皮膚の細胞を取り出して、iPS細胞を作り、

そこから肝臓に分化させ、それを移植することができれば、

適応者を待つ必要性もないですし、拒絶反応も起きないと、

いいこと尽くめです。

 

まあ、現段階では正確に分化させたい器官に分化させられないってのと、

金銭的な問題、あとはガン化のリスクがあるってな問題があるんですけどね。

 

ちなみに、iPS細胞の作り方は、細胞に多能性誘発因子を入れ込み、

培養して作るんですが、その多能性誘発因子はレトロウイルスによって

導入します。

 

レトロウイルスってのは逆転写酵素をもっているウイルスのことで、

転写ってのはDNAからRNAを作ることなんですが、その逆を行うわけ。

つまり、ウイルスのRNAをもとに宿主のDNAを書き換えるわけです。

 

レトロウイルスに多能性誘発因子の遺伝子を組み込んで、

それを細胞に感染させることで遺伝子組み換えするってことです。

 

 

話は戻って、iPS細胞を化粧品に利用ってことですが、

正確には、iPS細胞を作る際の上澄みを利用しているので、

iPS細胞は含まれていません。

 

表示名称はヒト肝細胞人工多能性細胞順化培養液

 

なにがすごいかって、iPS細胞の研究や治療を行っているとこから、

その培養液をもらってきているってことです。

普通には入手できるようなものではないですからね。

 

希少性ってことでいえば、かなりの価値があるものです。

 

従来のヒト幹細胞培養液との違いは、従来の幹細胞と呼ばれているものは、

脂肪幹細胞などある程度指向性がついてしまっているものになります。

脂肪幹細胞は脂肪組織を形成する細胞にしかなりません。

iPS細胞はその指向性が一切ない状態。

 

ただ、効果に関しては大きな差はないと思われます。

あくまで培養液ですからね。

 

ぶっちゃけ、植物幹細胞培養液、酵母培養液とかとも、

含まれている成分に多少の違いはあれど、だいたい同じです。

そのため、ヒト幹細胞だからということで、特別な効果があったり、

効果が何十倍とかになるということもないわけです。

 

あくまで希少性に価値があるわけで、

あとはユーザーが勝手に勘違いしてくれるよう仕向けるくらいかな。

できることは。

 

 

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