枯草菌によるタンパク質生産技術を感染症対策に応用

枯草菌とかマジか

花王生物科学研究所はこのほど、枯草菌によるタンパク質生産技術の

感染症対策への応用のための研究を開始したとのニュースが。

 

簡単にいえば、枯草菌を遺伝子組換えして、目的の成分を作らせるって話。

普通は大腸菌で行います。扱いが楽ですからね。

化粧品ではヒトオリゴペプチド-1(EGF)が大腸菌を遺伝子組換えすることで

作っています。

 

それを枯草菌でってすげーな。

枯草菌はそこら中にいる菌ではあるのですが、

芽胞を形成するんです。

マジで死なないんですよね、この菌。

芽胞状態はほぼ不死身。

 

以前、豆乳をパウチに入れたものを作ったんですが、

当然、パウチにする際は熱殺菌しますし、防腐剤も入れます。

にも拘らず、増殖してパウチが破裂しましたからね・・・

 

クリーンベンチに入ろうものなら、紫外線でもしなないので、

コンタミしまくりで、もう大変。

 

つまり、枯草菌を扱えるってことは、非常にハイレベルの無菌管理ができている

という証明でもあります。

下手すりゃあっという間にライン汚染しかねませんからね。

いやー、スゲー。

 

ちなみに、納豆菌も枯草菌の一種で、菌系に関わる仕事に従事している方は、

朝に納豆を食べてはいけないんですよ。

納豆菌がクリーンベンチを汚染しますので。

 

 

30年以上もの間、酵素などのタンパク質を枯草菌を利用した生産技術を確立してきたそうですが、

その技術を、抗体など感染症対策に役立つタンパク質の生産に応用しようってことです。

 

一部の枯草菌は、様々な環境ストレスの耐性を獲得するために、

外部のDNAを取り込む能力を持っています。

さらに、タンパク質を高効率に分泌する性質を持つものもあり、

この性質を利用することで、目的とするタンパク質を

安定的に大量に作ることができるそうな。

 

 

同社の枯草菌によるタンパク質生産技術は、2020年5月に発表された、

北里大学、Epsilon Molecular Engineering(EME)との共同研究により、

新型コロナウイルス中和能を持つVHH抗体取得にも貢献しています。

 

抗体もタンパク質ですからね。

これを大量生産していくってことなんでしょう。

 

また、今後出現するかもしれない脅威となるウイルスに対しても、

迅速に抗体をスクリーニングできるそうな。

 

多くの薬は遺伝子組換えした大腸菌によって作られていますが、

この枯草菌も薬の製造に寄与しそうですね。

花王って医薬品の製造できたっけ?

まあ、抗体も薬みたいなもんだし、できるっしょ。

 

 

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