健常者とアトピー患者のセラミド分布

健常者とアトピー性皮膚炎患者ではセラミド分布が異なる

花王の研究で、皮膚角層中のセラミド分子種の網羅解析が可能になったって話。

皮膚角層中のセラミド分析の網羅解析

 

ヒトの皮膚には12タイプのセラミドが存在します。

さらに、脂肪酸とスフィンゴイドの炭素鎖の長さの違いを考慮すると、

350種類以上ものセラミド分子種が存在します。

 

数、増えとるな・・・

同定できていないだけで、調べれば調べるほど、数は増えていきそうですね。

 

で、順相液体クロマトグラフィーとエレクトロスプレーイオン化質量分析法を用いることで、

ヒト皮膚角層中のセラミド分子種を網羅的に、迅速かつ高感度に定量できる測定法を開発したそうな。

その結果が上図になります。

 

クロマトグラフィーってのは、物質の違いを利用して分離を分けることで、

ここでは質量と極性の違いを利用して、セラミド分子種を分離しています。

極性は分子内の電気的な偏りのこと。

 

1㎠の角層剥離テープを分析するそうな。

ひとつひとつのピークがセラミド分子種とその量を示しています。

 

 

アトピーだとセラミド1が少ないというのは分かっていたことですが、

この図からアシルセラミド全般少ないことが見て取れます。

アシルセラミドは高分子量で、EOS、EOP、EOHと書かれているものです。

旧名称だとセラミド1、セラミド9、セラミド4といったところです。

 

アシルセラミドが少ない代わりに、分子量の小さいセラミドが増えていることも

この図から見て取れます。

 

NDS、NS、ASが多くなってますね。

セラミド10、セラミド2、セラミド5ってことです。

同じセラミド10でも分子量の少ないものが増えているということも明らかです。

これは脂肪酸の炭素鎖が短いってこと。

 

また、セラミドNP、つまりセラミド3も少なくなってますね。

 

どうしてこのような差が生まれるかって根本的な問題はありますが、

それには複数の要因が複雑に絡み合っているわけで、

特定するのは容易ではないわけですが・・・

 

とりあえず、セラミド、特にアシルセラミドを補えば、

症状は改善するってことは明らかなわけ。

 

 

まあ、近い将来、自分の肌のセラミド状況を調べてくれるような日も来るかもねー

で、どのセラミドを補うのがベストだってのが分かるようになるかもしれません。

 

 

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