老化をコントロールすることに成功!?

老化を司るのは視床下部神経幹細胞だった!?

生物の老化を司る脳細胞を発見した!という論文が発表されました。

Brain Cells Found to Control Aging | Albert Einstein College of Medicine

Brain cells found to control aging -- ScienceDaily

視床下部は脳みその真ん中に位置している部分で、

ホルモンの調整をしている大元にあたります。

成長ホルモンや女性ホルモンは老化に大きく関わっているので、

視床下部が老化に関わっているのは、まあそうだよなー

って感じなんですが、

 

直接的に老化をコントロールしているのが、

新しい脳のニューロンを形成することで知られている神経幹細胞の小さな集団である

ということを発見したというのがこの論文の主旨になります。

 

ニューロンってのは神経単位と訳されるわけですが、

まあ、神経細胞の最小単位と考えて問題ないです。

神経細胞と置き換えてもいいです。

 

つまり、今まで新しい神経細胞を作っているところが、

実は老化をコントロールしていたってわけです。

 

で、この神経幹細胞は年齢と共に減少していき、

その結果、老化が加速すると。

 

 

 

まず、健康なマウスの幹細胞の数の変化を調査しました。

視床下部神経幹細胞の数は、マウスが生まれて10か月の時点で減少しはじめており、

そのあと数ヶ月遅れて老化の兆候が現れることを確認できたそうです。

 

老化の一環として神経幹細胞が減るのではなく、

神経幹細胞が減るから老化が始まるということが示唆されたわけです。

 

 

次に、視床下部神経幹細胞の減少が実際に老化を引き起こしているのかどうかを

確認するため、中年のマウスで視床下部神経幹細胞を破壊するという実験を行っています。

結果は急速な老化の進行が起こり、通常のマウスよりも早く死んでしまったそうです。

 

まあ、脳の損傷により早死にしてしまったのでは?

という可能性があるので、続

いて中年の視床下部神経幹細胞が破壊されてしまったマウスの脳に、

視床下部神経幹細胞を新しく注入するという実験をおこなっています。

 

その結果、老化が遅くなるもしくは逆転、つまりは若返るという効果が確認されたそうです。


これは、視床下部神経幹細胞がmiRNAと呼ばれる分子を放出することで

老化を防いでいるのではないか?と考えられているそうです。

 

miRNAは遺伝子発現の調節において重要な役割を果たしています。

miRNAが遺伝子領域にくっついて、翻訳の邪魔をする・・・

つまり、老化遺伝子が発現するのを防いでくれているわけです。

 

視床下部神経幹細胞からmiRNA含有エキソソームを抽出し、

視床下部神経幹細胞が破壊されてしまった中年のマウスに注入しました。

 

結果、老化の抑制に成功したそうです。

 


神経幹細胞の減少は不可逆的ではなく、

増やすことができるそうです。

 

miRNAを注入するというのはあまり現実的ではないですが、

まあ、1つの方法なのかもしれませんね。

 

それはさて置き、神経幹細胞の増殖を促すものがあれば、

それはイコールで若返り成分ということができるというわけ。

 

今後、その方向性で研究が進むのではないかな?

 

不老ってのはさすがに無理かもですが、

老化を大幅に遅らせることはできる時代が来るかも・・・しれません。

 

 

【関連記事】

老化を停止させ、細胞を若返らせる実験に成功

運動は老化を遅らせる効果がある

老化した細胞を破壊すると長生きする?!

<<<前             次>>>