肥満の人と脳の実行機能

食事の嗜好性と肥満の関係性ってところかな?

肥満の人の脳のエグゼクティブ・ファンクション(実行機能)と食事摂取の関係を検討した論文が

12月29日、「Appetite」オンライン版に掲載されました。

 

まあ、肥満と脳の関連性は色々と研究されています。

とくに肥満大国と呼ばれるアメリカでは、かなり進んでいる分野ではないでしょうか。

なんせ、BMI(肥満度)が高いと管理職につけない国ですからねー

自分の管理もできない人間が他人を管理できるかってことらしいです。

 

こんな話もあります。

BMIが高い人、つまり肥満の人は、標準体重の人より

灰白質部分が少ないといわれます。

灰白質とは、脳の一番外側の部分。

まあ、脳の中心のほうにもあるわけですが、

ここで言われているのは、脳の表面の話、つまり大脳皮質ってこと。

 

さらに、主要ネットワークにおいて白質が少ない傾向があり、

また背側線条体という、習慣的な行動に関連する領域にも差異が見られそうな。

 

肥満だからそうなのか、そうだから肥満になったのかは定かではないのですが、

肥満の人は自制心を扱う脳に問題がありそうだ、というなんとも危険な主張です。

 

 

これは極端な話ですが、肥満は脳の老化が早まるだとか、

脳の萎縮が起こるだとか、さんざんな結果がでています。

 

 

前置きはこんなところで、この論文の内容ですが、

実行機能と食事リコール(食べた物を思いだしてもらう調査)の行動尺度を用いて、

過体重/肥満の人における飽和脂肪酸、果物および野菜の摂取と実行機能の関連を調べたそうな。

 

簡単にいえば、肥満の人に何が食いたいか調査し、実際に食べた物を調べたってことですね。

 

同時に、知性、計画能力、抑制コントロールを測定する神経心理学的評価を行い、

その関連性も調べています。

 

結果、抑制コントロールの高い人は、果物や野菜の消費が多かったそうな。

まあ、当たり前の話ですな・・・

 

で、実行機能と飽和脂肪酸の摂取量には関連性はなしと。

 

 

つまり、肥満と脳の実行機能には関連性はなかったわけですね。

 

まあ、減量プログラムの一環で行われた実験なので、

当然、「痩せよう」という意志をもって集まった被験者ですからね・・・

想定していたデータとは違うものがでてきたんじゃないでしょうか。

 

食べた物を記録するだけでダイエットになるといわれていますし、

(食べた物を記録することで自制心が働くため)

そのへんも影響してるんじゃないかなー

 

 

そうなると、この辺の立証は難しいかもしれませんね。

逆にいえば、その程度で影響を受けるくらいしか、

差異はないともいえるかな?

 

 

そもそも、脳と肥満の関連性が明らかとなり、

肥満の原因が仮に脳にあったとして、それでどうしろと?

 

太りやすい人は脳に原因があった!

といわれても、「遺伝だから」というのとほぼ変わらないのではないでしょうか?

まあ、夢も希望もない話ってことさね。

 

 

まあ、糖や脂肪はマイルドドラッグと呼ばれているわけで、

中毒性があるので、毎日、そんなものばかり食べていたら、

脳にも悪そうですがね・・・

 

生まれつきというよりも、そのほうが影響が大きんじゃないかなー

と個人的には思います。

つまり、脳が問題あるから肥満になるんではなくて、

肥満になるようなものばかりを食べた結果、脳が変化したと。

 

 

 

 

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