ゲノム編集技術を用いた臨床試験申請が承認される

ついに来たか・・・

遺伝子組換技術やゲノム解析の最終目的である

ゲノムの編集技術が確立されつつあるわけですが、

とうとうヒトへの利用へ着手する一歩を踏み出したそうな。

 

First proposed human test of CRISPR passes initial safety review

 

ゲノム編集技術「CRISPR/Cas9(クリスパー・キャスナイン)」は

ピンポイントで遺伝子を壊したり、特定の遺伝子を挿入したりすることができる技術で、

遺伝子組み換えに比べて数千倍の高い精度で遺伝子操作が可能となります。

つまり、いわば「偶然」や「運」を頼りに膨大な回数の実験を繰り返す必要なくなったわけです。

 

2012年にはすでに実用化されており、サルまでの試験は成功しています。

サルまで成功しているなら次はヒトで・・・となるのは必然ですわね。

 

遺伝子操作で思い通りの赤ちゃんを設計するデザインベイビー・・・

というSFの話が、今や不可能ではない領域まで来てしまったわけです。

優れた遺伝子を後世に残したいというのは生物の本能ですからねー

可能となればやっちゃう人がでてくるでしょう。

まあ、それはしばらく先の話ですが、半世紀もしないうちに起こっても

おかしくはないと個人的には思っています。

 

さてさて、CRISPR/Cas9ってのはどんな技術なんでしょう。

下記に論文を和訳してくれた方がいるので、詳しく知りたい方は

そちらをご参考にしてみてください。

CRISPR/Casシステムを用いたゲノム編集

 

CRISPR/Cas9は、機能を停止させたい特定の遺伝子をguide RNAと呼ばれる物質で効率的に見つけだして、

Cat9ヌクレアーゼと呼ばれる物質でDNAを切断し、そこに任意の遺伝子を組み込む技術です。

手軽で、しかも一度に複数の異なる遺伝子を除去したり導入したりできる、画期的な技術です。

 

guideRNAとは原核生物のゲノムから転写・合成されるRNA分子で、

CRISPR/Cas9システムにおいて、その塩基配列と相補的なゲノムDNAの部位を認識するものです。

guideRNAを人工的に設計することにより、Cas9を任意の部位を認識し切断することが可能な

人工ヌクレアーゼとして機能させることが可能になるそうです。

(イマイチよくわからん笑)

 

まあ、入れたい場所に的確に遺伝子を入れることができるってことですわ。

 

農作物を改良する実験が行われており、例えば長期間ハリを保てる日持ちの良いトマト、

含まれる油の量が1.5倍になった藻などが生み出されています。

また、筋肉の成長を抑制する働きを持つミオスタチンという遺伝子を切断することで、

筋肉量が2倍で肉付きのよくなった肉牛などの開発にも成功しています。

 

まあ、遺伝子組換ってのは新しい技術なので、

それのもたらす影響が未知数ですからね。

環境的な面で非難の声がでるのはやむ負えないです。

 

また、神の領域に足を踏み込むわけですから、

宗教的な問題でも論争が起こります。

 

そして、ヒトへの利用は倫理的な問題がつきまとうことになります。

 

 

ヒトへの利用も決してIQがとびぬけて高い子を作ろうとか、

運動神経がずば抜けて高い子を作ろうとかしているわけではなく、

病気の治療目的です。

 

ガンの治療をはじめ、様々な遺伝的疾患を治癒することができるかもしれないわけです。

遺伝的な疾患の治癒は持って生まれてきたものとして諦めるしかなかったものが、

治る可能性がでてきたのは、大きな希望なわけです。

 

だからこそ、今回の認可につながったわけですが、

頑なに反対の人も少なくはないんですよ。

 

まあ、今後どうなっていくのか非常に楽しみではあり、

少し不安もある分野です。

 

 

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