抗生物質が肥満の原因に?!

抗生物質をたくさん使った肉も同様・・・

2015年11月、中国でコリスチンという抗生物質に耐性を持つ細菌が見つかったという

ショッキングなニュースが報道されました。

 

このコリスチンは大腸菌やグラム陰性菌への高い殺菌作用を持つ抗生物質で、

既存の薬が効かない感染症への最終手段として「最後の砦」と位置づけられる薬です。

 

これは家畜のエサに大量のコリスチンが使われていた結果、

耐性菌ができたとされています。

 

まあ、人類最後の切り札を日常的に使うってのはどうなん?

とは思いますが、抗生物質を使う理由があるんです。

何気に衝撃的な話なんですが、抗生物質を与えると太るんだそうな

 

建前上は、狭い環境に閉じ込めているので、

ストレスで病気になりやすいし、衛生面でもよいとはいえません。

そこで、病気にならないように抗生物質を予防で与えている・・・ということになってます。

 

しかしながら、風邪でもないのに風邪薬を飲むのは

体によくないことは誰でも知っていると思います。

豚や鶏だって同じです。

 

抗生物質を使い続ければ、耐性菌ができてくるのもありますが、

家畜の免疫にだって、悪い影響を与え、かえって病気になりやすくなります。

 

それでも当たり前にいまでも抗生物質を与えるのは・・・

個体が太って、大きくなるからなんです。

安い肉を生産するのに、抗生物質は欠かせないのです。

 

その歴史は古く、1950年頃にはすでに始められており、

なぜ抗生物質を与えると大きくなるのか?ということには誰も関心はなく、

如何に家畜を太らすかに注力していたそうです。

 

しかしながら、「アメリカの肥満の原因の1つは抗生物質なのでは?」との疑惑の目が向けられ、

ハツカネズミの実験で、抗生物質入りの飼料を与えた結果、通常の2倍の脂肪を蓄えたという

結果となり、抗生物質と肥満の研究が進むこととなります。

 

 

当時使われていた抗生物質の量は、目を疑うくらいの量が家畜のエサとして与えられていたそうです。

で、その抗生物質漬けの肉を食べていたアメリカ人に肥満が多かった・・・というのは

もはや間違いなかったのではないかと思われます。

 

で、当時のアメリカに勝るとも劣らない量の抗生物質を使っているのが中国って話で、

その肉は日本にも大量に入ってきています。

某ハンバーガーチェーン店のチキンは中国から輸入された加工肉だったというのは記憶に新しいところです。

 

古い肉云々って話も問題ではありますが、

その肉に抗生物質はどんだけ含まれていたのやら・・・

(これは現在進行形の問題でもあります)

 

 

抗生物質を取ると太るメカニズムについては、まだよくわかっていないのですが、

仮説としては

①有用な腸内細菌の減少説

抗生物質によって、腸内の有用菌が死滅。

その代わりに脂肪の吸収を促進するような有害な菌が増えるというもの。

太りやすい、太りにくいは腸内細菌の影響を受けることが分かっているので、

太りやすい菌叢になる可能性があります。

 

②菌数の減少によるエネルギー競合がなくなる説

有用菌だけでなく、あらゆる菌が死滅し、

通常は100兆個という細胞の数よりも多い細菌と共存しているわけですが、

それらが使う栄養を個体が使えるので、結果としてエネルギー過剰になるというもの。

実際、抗生物質を使っていると菌の数が1/10にまで落ち込むといわれます。

 

③抗生物質が脂肪の蓄積を高める説

直接的に抗生物質が太る原因であるとする説。

実際に抗生物質が何かしらの遺伝子を活性化するというような

データは見つかってはいません。

 

 

まあ、抗生物質の発見で、物凄い数の命が救われているわけで、

抗生物質の使用は悪いことではないのですが、

乱用はしないようにしたいところですね。

 

 

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