寿命を1.6倍に?

特定の遺伝子を削除することで寿命を60%伸ばせる

不死不老の研究って、現代でも形を変え、大真面目に取り組まれている分野ではあるのです。

その結果、寿命を伸ばす方法論は沢山でてきています。

(実現可能かどうかは置いといてね)

 

今回は特定の遺伝子を削除することで、

細胞の寿命を60%伸ばすことに成功したとの報告が。


 A Comprehensive Analysis of Replicative Lifespan in 4,698 Single-Gene Deletion Strains Uncovers Conserved Mechanisms of Aging: Cell Metabolism


面白い発想ですよね。

足すのではなく、引くわけですからね。

 

そもそも、遺伝子ま生まれたときから死ぬまで、

ずっと同じなんです。

 

にも関わらず、成長し、そして老化し、死を迎えます。

これは遺伝子に老化、死がプログラムされていると考えるのが自然です。

今回の論文はそれを証明したといってもいいと思われます。


 

酵母の遺伝子を一個一個ぶっ壊していき、

寿命が伸びたものをピックアップしていった結果

238種類の遺伝子を特定したとか。


その中でもLOS1という遺伝子を壊したとき、寿命が60%伸びたのだとか。

この遺伝子は断食とかで働く長寿遺伝子に深く関わるものであるそうな。


そして238種類の多くはヒトにも存在し、ヒトにも応用可能ではないだろうか?

と考えられています。

(これらが老化遺伝子なのではないか?というわけです)


まあ、生物の寿命というよりは細胞の寿命なんですけどね。

細胞は分裂して増えていきます。

しかし、その分裂回数には限界があり、

その限界を超えると分裂できなくなります。


その分裂を制限しているのがテロメアであると言われていますが、

今のところ、それが一番有力な説ではあります。

レスベラトロールの長寿効果はテロメアの再合成ですしね。



単体でLOS1遺伝子を壊した人がどのくらいの寿命になるかは

正直、やって見なくてはわからないわけです。

おそらく、線虫、ハエ、マウス、サルで試した後、

ヒトに応用可能かどうかを調べることになるのかな?

(それが倫理的に赦されるかはわかりませんが)


もし仮に、老化遺伝子がすべて特定され、

それらの遺伝子を取り除くことができたら・・・

老いる宿命から解放されるのかもしれませんね。



さて、話はかわりまして、

世の中には色々な理論を持ち出して持論を展開する化粧品があります。

なんと、このテロメア理論に基づいた化粧品が存在するのです。


復習になりますが、遺伝子は細胞分裂する際に染色体と呼ばれる形状を取ります。

染色体とは酢酸カーミンなどで赤くそまることから、そう呼ばれます。

学生時代にタマネギとか頬の細胞とか見るときに、酢くさい赤い液体を

使った記憶はありません?


で、染色体は常に決まった形で、決まった数できます。

何番目の染色体のどこどこには、常に同じ遺伝子がくるわけです。

なんか凄いですよね、なんでそうなるのか・・・

ヒトは23対の染色体からなります。

学生時代は野生種の大麦でしたが、

染色体を死ぬほどみましたねー(なつかしい)

たしか6倍体とかあって、染色体の数が40とかあって

数えるの凄い面倒だった記憶があります(笑)


染色体の先にはテロメアと呼ばれる、

無意味(遺伝子をコードしていないという意味で)な繰り返し配列が存在し、

それが分裂するたびに短くなっていきます。


まるで定期券のようにね。

分裂するたびにチケットを1枚使うってイメージかな。


実際にはテロメア修復酵素なるものがあるので、

一方的に減るってわけではないんですけど。


で、そのテロメアを使い切った細胞は分裂を停止します。


で、このテロメアの減らない細胞も実際にあります。

その細胞は無限に増殖していくことができます。

(もちろん、個体の死がくるまではって話ですがね)


そのため、テロメアをコントロールできれば、

細胞の寿命を伸ばすことができるのではないか、

と考えられています。



これらを踏まえて、テロメア保護クリームなるものが販売されています。

これ、普通の人には絶対伝わらない話、マニアックな話です。

なんとチャレンジ精神旺盛なんでしょう。


まず、細胞分裂をゆっくりにするそうです。

(これって、ターンオーバーを遅くするってことじゃ・・・)

植物の中には休眠して、適応する環境になるまでやり過ごすものがあります。

その休眠物質を配合しているとかなんとか。


そして、テロメア修復酵素であるテロメラーゼの活性を促す

ビタミンC誘導体を配合しているのだとか。

ビタミンC誘導体を血中にいれることで、細胞分裂で減少するテロメアの量を

7割くらい減らせることができるというような実験結果があるそうな。。


つまり、3倍くらいは余分に分裂可能ってことかな。


ただ、血中に入れてって話なので、

肌に塗った場合にどうなるかってのはわかりません。


コンセプトは非常に面白いと思いますが、

説明する自信は私にはないです。



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