慢性的な痒みのメカニズム

痒みが慢性化する原因が解明された?

九州大学大学院薬学研究院ライフイノベーション分野の津田誠教授らの研究グループが、

皮膚を激しく引掻くアトピー性皮膚炎モデルマウスを用いて研究を行い、

痒みの慢性化する原因の解明に大きな手がかりを発見しました。


もともと掻くという行為は、毒素を散らしてダメージを分散させるためのものです。

しかし、アトピーのように肌が弱い場合、

掻く→バリア機能の破壊→アレルゲンの侵入→痒い→掻く

という悪循環に陥ります。


今回の発見は、今までほとんど注目されていなかった、新しい視点での

痒みの慢性化のお話です。


痒い皮膚と神経で繋がっている脊髄後角で「アストロサイト」と呼ばれるグリア細胞存在します。


脊髄後角は痒みを細胞へ伝達する部分になるのかな?

http://atopy.wakabagari.com/joukyu21.html

痒みの伝達だけで、こんなに複雑な反応が起こっているってのは驚き。

(正直、何書いてるのかさっぱりわからんですけど・・・)


アストロサイトとは、脳細胞、神経細胞と由来を同じにしているにもかかわらず、

電気的活動を一切しない細胞群で、長い間、何をしているかよくわからない存在でした。

(研究対象になっていなかったってところかな)


ただ、このアストロサイトは哺乳類への進化の過程で登場し、

ネズミからヒトへの進化過程で急激に増えます。

そのため、人間的な活動、思考に大きな影響を持たさしているのでは?

ということで近年注目されています。


アストロサイトは電気的な信号ではなく、カルシウムイオンを調整することで、

一瞬で伝達する神経細胞と異なり、ゆっくり情報を伝達します。


神経細胞が持続的に興奮して放出するグルタミン酸を受信し、

Caイオンの増加が起こることが分かっています。



つまり、アストロサイトは持続的神経の興奮に対し、

伝達を鈍くする仕組みであり、いわゆる慢性化の担い手なわけです。


で、この流れが痒みにも当てはまるということが証明されたのは

この研究というわけです。


そして、アストロサイトの活性を抑制すると、

慢性的な痒みを鎮めることができることも発見しています。


将来的に痒みを鎮める治療薬の開発が期待される研究結果というわけです。



さて、現状ではどのようにして痒みを抑えているんでしょ?


大きくわけて3つの手段があり

①免疫を抑制する

外部からの侵入者を排除する仕組みが免疫で、

肌が戦場と化すことで痒みや炎症が起こる訳ですが、

暴れている免疫を抑えるというわけです。


②抗アレルギー作用

①と同じことではあるのですが、こちらは免疫ではなく、

アレルギーを引き起こす一連の流れをどこかで阻害します。


③炎症作用抗

こちらは炎症の流れをどこかで阻害します。


で、この3つを同時にやってくれる便利な成分があります。

そう、ステロイドね。


強力ですが、副作用が気になるところ。

つまり、短期決戦用のかゆみ止めはあるわけです。


で、今回の発見は長期戦を短期戦で終わらせる可能性があるってこと。

慢性化の根源を叩けるわけですからね。


まあ、商品化するのはずっとずっと先の話でしょうが・・・