セラミドの長鎖脂肪酸の重要性

セラミドを構成する長鎖脂肪酸はバリア機能において重要な働きをする

長鎖脂肪酸とは?

長鎖脂肪酸

セラミドはスフィンゴシンと脂肪酸からなるわけですが、

この脂肪酸のバリエーションが豊富で、セラミドの種類の多様性に関わっています。

 

上図はセラミド3の構成を表したものですが、

脂肪酸の炭素の数で、この炭素の数が多いものを長鎖脂肪酸といいます。

厳密には、

炭素数16~20 長鎖脂肪酸

炭素数22~24 極長鎖脂肪酸

炭素数26以上  超長鎖脂肪酸

と呼ぶそうです。

 

皮膚に特異的に多いのが極長鎖脂肪酸以上のもので、

これらが皮膚のバリア性に重要な役割を果たします。

 

 

長鎖脂肪酸を作れなくなると、あっという間に干からびます

長鎖脂肪酸合成経路

体の中には、この脂肪酸の長さを伸ばす酵素が存在し、

体内で長鎖脂肪酸から極長鎖脂肪酸、超長鎖脂肪酸を

合成することができます。

 

その中で、Elovl1(E1)という酵素があり、

C20以上にするために必要な酵素になります。

 

この遺伝子を意図的に壊したマウスを作ったところ、

出産後12時間で死亡してしまったそうです。

 

死因は乾燥。

どんどん水分が抜けていき、

その分、体重がどんどん減少したそうです。

 

つまり、C20以上の脂肪酸が存在しない皮膚は、

水分の蒸発を防ぐことができないということです。

 

 

また、水性の色素溶液につけたところ、

通常であれば弾くところ、このマウスは真っ青に染まってしまったそうです。

 

バリア性に関しても、ほとんど機能しないというわけです。

 

 

長鎖化は角質層では起こらない

これらの酵素が角質層でも働いてくれれば、

短い脂肪酸でも長く伸ばしてくれるのですが、

 

残念ながら、そうはならないようです。

 

C16、C18の脂肪酸を持ったセラミドを塗布し続けると、

保湿性、バリア性がともに低下したという報告があります。

 

逆に、C20以上の脂肪酸をもったセラミドを塗布すれば、

保湿性、バリア性共に向上しています。

 

極長鎖脂肪酸以上の割合は50%以上で、

割合が多ければ丈夫な肌であり、

割合が少なければ、乾燥しがちな肌になるわけです。

 

天然ヒト型セラミドは60%近くが極長鎖脂肪酸なので、

お肌の保湿性、バリア機能の改善に役立つってわけです。

 

補足ですが、C26以上の超長鎖脂肪酸をもつセラミドは、

アシルセラミドと呼ばれ、セラミド1、セラミド4、セラミド9が

それにあたります。

 

極長鎖脂肪酸と同様、バリア機能に重要な役割を果たし、

これらの不足がアトピーの原因の1つであることも分かっています。