細胞の遊走スピードがシワの原因
ポーラの研究でシワ部分では細胞の遊走スピードが低下しており、
それが原因でコラーゲンの修復が遅れ、シワが形成されるのではないか?
との知見を示しました。
細胞同士を固定結合するビンキュリンというタンパク質があるのですが、
シワ部分ではビンキュリンの発現量が低下していることを明らかとし、
ビンキュリンの低下によって、線維芽細胞のの遊走が低下するとか。
ていうか、線維芽細胞って移動するんだ・・・
傷口に向かって移動して、創傷治癒や組織再生などを行うんだそうな。
移動の際にビンキュリンを使ってコラーゲンを伝って移動するそうな。
なんかあんまり想像しづらいですけどね。
ビンキュリンの発現が低下すると、線維芽細胞の移動速度が低下が起こり、
コラーゲンなどの修復が遅れるのではないか?
その結果、コラーゲンの立体構造が乱れ、シワの原因となるのではないか?
と考えたわけです。
皮膚に傷ができると、まず血液の凝固因子が活性化します。
創傷部位に血栓を形成して止血します。
次に、免疫応答によって好中球やマクロファージ、リンパ球などの炎症性細胞が傷に遊走し、
壊死組織などを除去します。
そして、マクロファージが放出する物質により周辺の線維芽細胞が傷に遊走し、
修復のためのコラーゲンが産生され、血管新生が起こって肉芽組織が形成されます。
最後に表皮組織が遊走して傷が収縮し、閉鎖されます。
最初のマクロファージはM1、次のがM2にあたるわけ。
M2マクロファージがコラーゲンの育成に欠かせないのは、
線維芽細胞を呼び寄せるからなんでしょうね。
で、ポーラはビンキュリンを増やせば、遊走が促されて、
コラーゲンの修復が速やかに行われるのではないか?
それによってシワを予防できるのではないか?
と考えたわけです。
スクリーニングによって、ドクダミエキスにビンキュリンの
発現量を増やす効果を見出しました。
ドクダミエキスを添加することで、ビンキュリン遺伝子の発現が
40%アップしたとのこと。
意外に少ない増加量ではあるのですが、シワ部分でのビンキュリン遺伝子の発現量が
40%低下していたので、これで相殺できるというわけさね。
in vitroの実験ですし、直接シワとの相関を見たわけではないので
なんともいえませんが、何かしら作用するのでしょう。
ポーラといえばニールワン。
ニールワンは好中球エラスターゼの活性阻害効果により、シワを改善します。
好中球エラスターゼは好中球が出すタンパク質分解酵素の一種。
これが線維芽細胞の遊走力を低下させるんだとか。
つまり、今回の研究結果はニールワンとの相性抜群なわけ。
今後何らかの形で入れてくるのは間違いないかと。
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