酵素と呼ばれているもの

厳密には酵素ではないです

酵素ブームがあり、酵素という言葉を聞いたことがある人のほうが多いと思います。

しかしながら、「酵素とはないか?」と聞かれたとき、

ちゃんと答えられる人は少ないです。

 

本来の酵素は生体触媒になります。

タンパク質でできた触媒です。

触媒というのは、特定の化学反応の反応速度を速める物質で、自身は反応の前後で変化しない物質。

 

例えば、デンプンを麦芽糖に分解する酵素は唾液に含まれるアミラーゼになります。

デンプンを置いといても麦芽糖に分解されることはないです。

つまり、デンプン⇒麦芽糖という反応をアミラーゼが促進したわけ。

で、アミラーゼ自身は変化しません。

 

体で起こるあらゆる生体反応に酵素が必要で、

5000種類もの酵素が体内に存在していると言われます。

生物が生物たるためには酵素が不可欠なわけです。

 

 

さてさて、では巷で売られている「酵素」と言われているものは

このようなものなのかと言われると、ほとんどの場合はNoです。

 

強力ワ●モトなどの消化剤はまさに酵素です。

アミラーゼ、ペプシン、リパーゼなどなど、

いわゆる消化酵素と呼ばれるものが含まれており、

食べた物を消化するのを助けてくれます。

 

まあ、これは例外的なもので、

通常は植物発酵エキスのことを酵素と呼んでいます。

 

実は、アミラーゼを使わず、デンプンを糖に変える方法があります。

デンプンはわかりやすく言えば、お米です。

お米をどんなに加熱したところで、糖にはなりません。

超高温、高圧にすればできなくはないのですが、

そんなことをしなくても、簡単にデンプンを糖に変える方法があります。

 

それが発酵です。

 

お米を麹菌で発酵させることで、甘酒ができます。

これは、デンプンがブドウ糖まで分解された結果です。

 

つまり、発酵は酵素と同じ結果を導くので、

発酵食品のことを酵素と呼ぶようになったとか・・・

まあ、発酵も菌の酵素によって行われているんですけどね。

 

発酵食品にも酵素は含まれています。

分かりやすいとこでは、納豆かな。

納豆菌の出した酵素がそのまま残っており、

この酵素が血栓を溶かすナットウキナーゼで、

脳梗塞や心筋梗塞の予防につながります。

 

ただ、酵素はタンパク質であるため、熱に弱いです。

熱によって、変性(形が変わること)で、失活してしまいます。

 

納豆も熱をかけてしまうと、酵素が失活してしまいます。

 

多くの酵素と呼ばれている植物発酵エキスは、酵素が失活しています。

ぶっちゃけ、植物発酵エキスとして売っている原料は何種類かあるのですが、

その中で酵素が生きているものはないです。

 

また、液体の場合は本来熱殺菌をする義務があるので、

通常は熱処理されています。

 

よく見るソフトカプセルに詰めているものは、

充填時に熱がかかるので、サプリメントのものは

まあ、酵素は生きてはないわな。

 

で、結果として植物発酵エキスは何かというと、

消化処理が済んだものってことになるかな。

それ自体、消化する必要がなく、そのまま吸収できる状態の食べ物ってこと。

 

また、本来ヒトのもつ酵素では分解できないものも分解されており、

それが有益な効果をもたらす可能性もあります。

 

体にはいいものでることは間違いないっす。

 

まあ、実際に何が含まれていて、何が効果があるとか、

一切わかってはいないので、酵素っていったほうが売りやすいってことで、

植物発酵エキスを酵素と言い出したってのが経緯なんではないかと思います。

 

 

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