アトピー新薬への光?!

アトピーが治せる日も近い・・・のかも

ちと難しい話ですが、

外部から体を保護する皮膚のバリア機能を高める物質を発見、

それがアトピー性皮膚炎の症状を改善すると、

京都大の椛島(かばしま)健治准教授らが発表。

 

論文が昨日発表されたそうです。


アトピー治療には現在、免疫反応を抑える

ステロイド剤が主流です。


 まあ、副作用の問題があり、根本的な

治療ではなく、あくまで抑える対処療法なわけです。


椛島健治京大准教授(皮膚科学)曰く

皮膚バリア機能を高めるアトピー性皮膚炎の薬はこれまでなく、

実現すれば世界初」なんだそうだ。

 

もし実現すれば、90%のアトピーに

効果があるとのこと。

実用化までには最短でも10年はかかるそうですが・・・


注目したのが「フィラグリン」というタンパク質で、
皮膚のバリアー機能を保つ重要な物質です。

 

アトピー患者のほとんどは通常の数分の一と少なくなっているそうです。


千以上の化学物質を調べた結果、

フィラグリンの量が回復する

人工の有機化合物「JTC801」が今回の発見なわけです。



この物質を、アトピー性皮膚炎を発症しているマウスに、

毎日0.6mgずつ飲ませると、皮膚内のフィラグリンの量が増え、

約1ヶ月で皮膚炎が改善。副作用も特なかったそうです。

 

さてさて、 「フィラグリン」とは何ぞや?

というところを説明していきましょう。

皮膚の表皮は、(一番下の層~上の層まで)

基底層(きていそう)
  ↓
有棘層(ゆうきょくそう)
  ↓
顆粒層(かりゅうそう)
  ↓
角層(かくそう:角質層)

と4つの層を通過して、アカとなってはがれ落ちていきます。

表皮細胞が4つの層をのぼっていく途中の有棘層(ゆうきょくそう)で、
表皮細胞の中にプロフィラグリンという大きなタンパク質が生まれます。

「プロ」とは「前」という意味。

つまりフェラグリンの前駆物質ってことです。

 表皮細胞が、表皮の中をさらにのぼり続けていくうちに、

1本のプロフィラグリンは、徐々にちぎれます。

その結果、細かくなってフィラグリンになります。

で、角層までいくと「フィラグリン」というタンパク質は、

アミノ酸にまで分解され、天然保湿因子(NMF)の生成へ

とつながり、細胞内に満たされます。

スキンケアアイテムでもよく見かけますよね?

天然保湿因子(NMF)

簡潔にいえば、フェラグリンはNMFの素、ってわけです。


アトピー患者のほとんどは「フィラグリン」が、

通常の数分の一と少なくなっているということは、

天然保湿因子ができる量が少ない

⇒乾燥する・・・というわけです。

 

では、天然保湿因子を増やしたらよいのでは・・・??

 

ま、話はそんな単純ではないでしょうね。

であれば、とっくに解決されているわけですから。

 

プロフェラグリンからフェラグリンになる過程ででてくる

ペプチドが角化を誘導しているとのことなので、

 

正常な角層の角化が行われないと、

根本的解決にはなりえない、

 

だから内側から・・・

というのがポイントなのかもしれませんね。

 

ここにはセラミドのセの字もでてこないのですが、

角化が正常化すれば、セラミドも作られるのかな・・・?

 

化合物でなく、天然から見つかっていれば、

薬でなくてサプリメント市場がにぎわったことでしょうに。

美容系でも全然いけるわけですもんね。

 

さて、10年も待ってられるかい!

という方に、フェラグリンを増やす可能性のある

ものをご紹介~

 

①ローズマリー油(ウルソール酸)

②オリーブ油(オレイン酸)

これらのオイルを塗布することで、

フェラグリンの発現量が高まったとの報告があります。

(ネズミの実験ですけどね)

 

③ビタミンB6

こちらはフェラグリン合成に欠かせない補酵素。

 

④米糠油

γーオリザノールがフェラグリン促進剤になるとのことで、

バスクリンが特許出願。

市販の米糠油ではダメみたいで、γーオリザノールが

良いみたい。

3倍近く発現を促進しているデータも。

 

ちなみに・・・

ステロイドはフェラグリンの量を減らすそうです。

短期的には増やしますが、長期的には確実に減るという

ことが報告されています。