EGF問題についてのまとめ

EGFが化粧品で使えなくなるかも・・・のその後

EGF問題とは、EGFが医薬品原料になり、今後化粧品原料として使えなくなるかも・・・

という話が化粧品のOEMメーカーを中心に広がったわけですが、

 

最終的にはその心配はありません。

今後もEGFは化粧品原料として使えることになりました。

微妙に過去に書いたEGFの記事が検索エンジンでヒットし、

未だに多くの人に読まれているので、ここは声を大にしていっておかねば

ならないかなーと思いまして。

 

とりあえず、この問題は一応の決着がついたので、

しばらくは問題はないと思われます。

まあ、蒸し返されることもないでしょうしね・・・・

 

 

EGFってなに??

化粧品でEGF配合ってのはよく見かけるけど、

そもそもEGFってなんぞや?って方も多いと思います。

ですので、軽く説明しておこうと思います。

 

EGFとはEpidermal Growth Factorの略。

直訳すると上皮成長因子となります。

 

53個のアミノ酸からなるタンパク質、つまりオリゴペプチドってわけです。

表示名はヒトオリゴペプチド-1となります。

 

EGFは細胞表面の特異的な受容体に結合することで、

受容体に備わるタンパク質チロシンキナーゼ活性を刺激。

これがシグナルカスケードを開始して、最終的にDNA合成と細胞増殖が起こります。

 

シングルカスケードってのは、ドミノ倒しのように、連続して起こる反応のこと。

 

つまり、EGFが細胞表面の受容体に結合したことがスイッチとなって、

細胞増殖が引き起こされるってわけです。

 

唾液などにも含まれており、傷は唾でもつけとけば治るって話は、

あながち間違いでもないんです。

 

ちなみに、チロシンキナーゼはチロシンにリン酸を結合させる酵素。

まあ、こいつが異常活性するとガン化するんですけどねー

 

 

作り方は、大腸菌にヒトのEGF合成遺伝子を組み込み、大量培養し、ヒトと同じEGFを作らせます。

それを集めて精製しまたものを化粧品の原料として使います。

まあ、遺伝子組換で作られているわけですが、薬の成分とかも多くは遺伝子組換で

大腸菌に作らせているわけで、嫌だといわれても、今更なんですよね。

 

これによって、価格は大幅に下がっているわけで、

自然界からのみの抽出では、それこそ1g何千万の世界になってしまいます。

 

 

EGF問題の経緯

事の発端は2012年7月、厚生労働省が「EGFは医薬品成分にします」と言い出したわけです。

ちなみに、こういったことはしばしばあって、いきなり通知が来て、

1年後には使ったら違法とみなしますってな感じでね。

 

もちろん、原料メーカーは異議申し立てをするわけですが、

これが覆ることはほとんどないです。9割9分、予告通り執行されます。

また、EGFは大手企業はあまり使ってない原料で、

ほとんどが中小企業での採用だったってこともあり、

覆すのは絶望的と思われました。

 

となると、OEMメーカーはEGFが使えなくなるから、

他の原料に切り替えて!ってアナウンスをします。

それと同時に、新規の案件ではEGFの使用を避けるよう促します。

 

その結果、EGFは化粧品では使えなくなるって話は

業界にあっという間に拡散しました。

 

ちなみにEGFが医薬品成分に該当する根拠は、

血管新生促進や組織修復作用があるため、医薬品に該当する

つまり、医薬品レベルの効果があるから、医薬品成分として扱うべきだってことらしい。

 

まだ、効くからダメって話なので、このケースはマシなほうで、

副作用があるって話で医薬成分に格上げするものもあります。

その場合、目も当てられません。

 

 

で、これに異を申し出たのが日本EGF協会。

 

実は、厚生労働省がいったのは食薬区分の話で、口に入れる物の話

EGFは食品では扱えないって話だったんです。

 

しかしながら、化粧品は使えるよね?という問いに、

化粧品もダメーって答えが返ってきました。

 

 

そこで

①真偽の確かでない海外の論文を根拠にするのはおかしくない?

②食薬区分で薬となったものが化粧品で使えないということになると、EGF以外にも

使えなくなる成分がたくさん出てきちゃいますよ?

③世界的に使われているのに、日本だけ規制するの?

 

という3点で議論が行われます。

 

 

最終的には、医薬品レベルで効果が出るほどの濃度は化粧品では使っていない。

(通常使用量はその1/2000~1/4000である)

使用上限を設けること。

 

これにより、化粧品で使ってもいいって話がまとまります。

通知から11か月後ですね。ギリギリです。

もし、これが1ヶ月ずれて、執行されてしまったら、

今頃はEGFは化粧品で使えていなかったでしょう。

 

もっと詳しく知りたい方は日本EGF協会のサイトをご参照くださいませ。

かなり端折って書きましたので。

 

 

余談ではありますが、このやり取りで暗躍したといわれているのがホルスという原料メーカー。

プラセンタとか有名で、最近は発酵プラセンタを売りにしているかなー

 

国内唯一のEGF製造メーカーで、国に正式にEGFの使用許可をもらっている

唯一の会社なんだとか。

 

ぶっちゃけ、韓国産と比べるとずっと高くなりますが、

今後、問題になりにくいだろうとのことで、EGFはこの原料メーカーにほとんどの

OEMメーカーが切り替えたといわれます。

 

まあ、使うならここが安全だってことです。

 

 

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