ヒト皮膚同一型セラミド

ヒト型セラミドのことです

エボニック ジャパン(株)の講演を聞いてきました。

セラミドを世界的の供給している会社です。


セラミドの量産が確立されたのが、1994年 Cosmoform社(エボニック社の旧名)によってらしく、

セラミドの歴史は案外浅いといえるかも。


製造法は発酵法

合成セラミドというと、石油から作っていると思われている人も多いのですが、

原材料になっているのは天然素材。

ぶっちゃけ、天然セラミドとも言えなくもないわけで。


セラミドの構造は、脂肪酸とスフィンゴイドで成り立っています。

その組み合わせによって、セラミド1とか2とかいうわけです。


酵母を培養し、酵母にスフィンゴイドを作らせます。

培養液にはトンカ豆を使うそうです。

そこに、脂肪酸を結合させることで、ヒト型セラミドを作ります。

脂肪酸は植物由来になります。

トンカ豆
トンカ豆


脂肪酸とスフィンゴイドを合成するので、合成セラミドってなわけです。


この講演で2点、興味深いデータが提示されました。


1つはセラミド3を塗布した時の乾燥肌の改善効果を見た試験。

1つの実験は0.05%、0.5%で試験をし、0.5%で有意なデータがでていました。

この実験データがセラミドの推奨濃度の根拠となっているのですが、

一方で、0.2%と0.5%を比較しているデータも紹介されました。


結果はその差はほとんどないというもの。

おそらく、効果の最大効率を狙うなら、セラミド3は0.2%前後なのではないかと思われます。

0.05%でも改善へ向かいますが、0.5%と比べると明らかな差がありますが、

そこまで入れる必要性はないというわけ。


で、セラミドプレミックス、スキンミミックのデータはセラミドとして0.05%が

セラミド3の0.2%と変わらない結果となっているので、セラミドの種類を増やすと

セラミドの濃度が低くても効果がでるということを示しているわけです。


何が言いたいかというと、セラミドの濃度には効果の限界値があるということ。

例えばセラミド1種類を高濃度で入れても、本当にその濃度必要?ということを

吟味する必要があるわけです。濃けりゃいいってもんでもないわけです。


もう1つは、経験則でセラミドの種類は多い方がよいと言ってますが、

根拠がない訳ではないということ。


うーん、ナチュセラクリームのセラミド濃度は0.4%以上。

もしかしたら、こんなにいらないのかもしれませんが、

まあ、今更減らせないっすけどね~



もう1つの実験は、ヒトの皮膚からセラミドを取り出し、

膜構造を分解し、単一化させたものに、

ヒト型セラミドと非ヒト型セラミドを入れた結果、


ヒト型セラミドの場合、膜構造を再構築させた際、

安定して膜構造を形成したのに対し、

非ヒト型は膜構造が崩壊し、再構築できないという結果になりました。


もし、非ヒト型のセラミドが肌に浸透し、肌の膜構造に入り込んだ場合、

バリア機能が崩壊することを意味します。


つまり、もし馬セラミドとか植物セラミドが肌のセラミドの材料に使われるとしたら、

逆にバリア機能を崩壊させてしまうということ。


幸い、これら天然セラミドと呼ばれるセラミドは配糖体であるため、

セラミドとして使われることはないので、バリア機能が低下するようなことはないです。



まとめ

・セラミド3の最適濃度は0.05~0.2%の間にある

・セラミドの種類を増やすと、低濃度で効果がでる

・非ヒト型のセラミドは膜構造を崩壊させる